名前も平凡、これといった才能もない、いや才能のある男の物語【山田太郎の話】(水沢秋生)の感想・レビュー

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 父親がある日失踪してしまい、家族を支えていかなければいけなくなった山田太郎を描いた物語。

 イケメンでもなく、酒をいくら飲んでもつぶれない以外には特に取柄もないし真面目過ぎる性格も仇になることもあるかもしれない。でも、一生懸命に生きることがこんなにも素晴らしいのかと生きる勇気をもらえる作品。

 まさにニューヒーロー誕生の1冊です。

山田太郎の話

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①あらすじ

 平凡以下だが令和のニューヒーロー、誕生!

 自己主張が苦手なOL、及第点で満足している中学教師、野心を抱くホスト、ブラック企業で病んでしまった青年……。

 そんな彼らの共通点は、山田太郎に出逢ってしまったこと!

 山田太郎は、中学の宿題「十年後の目標」に、「一生懸命、生きています」と書くほどのリアリスト!?

 家族を残して家出してしまった父の代わりに、山田太郎は妹の学費を稼ぎ、母の介護費用を支払うため、職を転々としていた。

 その愚直なまでの姿勢が、かかわっている人間たちを変化させていく。

 生きづらさを感じる時代にあらわれた、令和のニューヒーローの物語!

※Amazonの商品レビューより引用しております。

②読んだきっかけ

 ラジオで紹介されているのを聞いて

 成瀬みたいなお話か?

 と思って、気になっていました。

  書店で見つけたときは、まぁまぁカバーが地味…

  山田太郎という名前も地味ですが、カバーも地味、でも令和のニューヒーロー誕生?

 成瀬のイメージとはかけ離れている主人公山田太郎…どんな人なのだろうか?と興味しか湧かずに購入いたしました。

③感想・レビュー

(1)平凡なのに確かにヒーローがそこにいる

 構成は、山田太郎視点ではなく、山田太郎に関わる人目線で語られる山田太郎という人物が描かれることがメインのお話。

 この辺りは、成瀬シリーズと同じ手法だなという感じなのですが、ひとつ違うのは、成瀬のような突拍子もないキャラではないという点。

 思いつたままに即行動の成瀬とは違い、一生懸命生きることをモットーとする山田太郎は正直言って地味だし、平凡。

 でも、そんな山田太郎のマイペースに一生懸命生きる姿が他人視点で描かれると、愛着がわいてくるのが不思議なところで、読んでいて山田太郎のいくすえを見守りたくなってきました。

 そして、最後にたどり着くのは、富や名誉も大事だけども、いろんな人に愛されるということが一番素敵な人生なんだろうなということ。

 私も、今更良い意味で歴史に名を残せるような年でもないし、お金持ちになるためには宝くじを当てない限り無理だろうと思うので、そういう意味では平凡な人生まっしぐらです。

 ただ、その平凡かもしれない生活の繰り返しを一生懸命生きてみたいと思える作品だなと思いました。

(2)派手さがなくて少し退屈に思う点がややマイナス

 前情報でや帯で男版成瀬というイメージがあったというのもあり、成瀬みたいな作品を想定して読むと、平坦な話が続くので、若干退屈だなと感じる読中でした。

 自分も平凡な生活を送っているのに、特別に努力をするわけでもない私が何の根拠もなく自分は特別だと思っていていつか特別な人になれる日がくるんじゃないかと漠然と思っている。

 そういう私にとって、山田太郎という主人公ははじめは、一生懸命生きるコミュ障みたいなキャラクターで、盛り上がる部分が少なくて読み進めるのに退屈だなと感じました。

 山田太郎の一生懸命生きる姿に登場人物同様に感銘を受けることができれば、ヒーロー山田太郎を感じることができる作品ではあるとは思いますが、ヒーロー感に気づくまでのエピソードは地味よりだと思うので、派手に面白いものを求めている方にとっては退屈に思うかもしれません。

④こんな方にオススメ

 地味でも平凡でも一生懸命に生きる山田太郎を通じて、一生懸命に生きることの大切さを感じたい方

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