【団地の恋人 きみを待つ優しい時間】(野村美月)の感想・レビュー|気がつけば二人の恋を見守っていた。『“文学少女”』タッグが贈る物語

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 今回は『団地の恋人 きみを待つ優しい時間』(野村美月)を紹介いたします。

 読み始めは、正直に言うと売れない絵本作家が遠い親戚から団地の一室の遺贈を受けるところからはじまり、物語に引き込まれず、少し地味に感じました。ところが、読み進めるうちに、気がつけば登場人物たちの恋を見守りたくなっていました。

 本作を手に取ったきっかけは、Xで見かけた野村美月先生のSOS。そして、『“文学少女”』シリーズの野村美月先生と竹岡美穂先生のタッグによる作品だと知ったことでした。

 終盤の展開は、理解するのに複雑でもう少しじっくり読みたかったという気持ちもあります。それでも、読みやすく、『“文学少女”』に親しんだ方には一度手に取ってみてほしい一冊です。

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①あらすじ

 売れない絵本作家が引っ越してきた古い団地。そこには、お姫さまのような不思議な女性が営む、小さなカフェがありました。

 手作りのパンやお菓子が並ぶその場所で、少しずつ見えてくる彼女のこと。そして、彼女が満月の日に会う男性のこと。

 団地での暮らしに異世界の出来事が重なり、誰かを待つ時間と、恋の行方が描かれていきます。

 きみを待つ時間はとにかく優しい。

②読んだきっかけ

 きっかけは、Xで野村美月先生がSOSを出されていたことでした。

 売れていないと…

 そして、本作が『“文学少女”』シリーズの野村美月先生と竹岡美穂先生のタッグによる作品だと知り、売れていないとはいえ、野村美月先生を知った『文学少女』シリーズのタッグ…これは買って読みたいと思いました。

 正直、発売されたことも知らなかった私は、そのタッグはお世話になったお二人の作品はどんな評価になっていても手に取らなければならない(使命感)ということで、たまたま知ったSOSから作品を探して書店で購入いたしました。

 ぶっちゃけ、レーベルがそこまで有名じゃない(というか、私が単に知らないだけ?)というのが原因なんじゃないかと思うほどに、発売から日が経っていて、書店でなかなか見つからなかったというエピソードも加えて。

③感想・レビュー

※ここからは、物語の設定や展開に少し触れています。

(1)はじめは地味。でも、気がつけば見守りたくなっていた

 正直に言うと、読み始めは少し地味に感じました。

 売れない絵本作家が遺贈を受けた?団地に引っ越してきて、お姫さまのような謎の女性と出会う。そんな始まりなのですが、もうひとつ強く引きつけられるものがないな……と思いながら読んでいました。

 その気持ちが変わったのは、彼女が満月の日に会う男性とのやり取りが始まってからです。

 読み進めるうちに、この人たちを見守りたいと思うようになっていました。二人がこれからどうなるのか、気になってページをめくってしまう。

 最初から一気に引き込まれたわけではありません。それでも、気がつけば物語の世界に入り込み、登場人物たちの行く末を見届けたくなっていました。

(2)二人の恋を、もう少しゆっくり見守りたかった

 異世界から日本へ避難してきた姫さまと、異世界で国を守る王子さま。その二人の恋を見守る物語としては、面白かったと思います。

 ただ、この一冊で完結するためなのか、最後は駆け足気味に感じました。最後は時系列も少しわかりづらく、うん?どいういうこと?と物語を追いながら戸惑うところがありました。

 せっかく、この2人を見守りたいと思うようになったので、もう少しゆっくり読ませてほしかった、というのが正直なところです。

 二人のことが気になったからこそ、終盤もじっくり味わいたかった。その点では、少し物足りなさが残りました。

(3)それでも、一度手に取って読んでもらいたい

 同じ野村美月先生の『紅茶とマドレーヌ』や『ツキワタ』シリーズと比べて面白かったかというと、そこは少し微妙でした。

 正直に書くと、料理の表現もシリーズと代り映えもなく、ワンパターンな気もするというか…

 ただ、それでも一度手に取って読んでもらいたい作品です。

 読みやすいことは間違いありません。私自身、最初は地味だと思っていたのに、気がつけば物語に引き込まれていました。読み始めの印象だけで閉じてしまうには、惜しい作品だと思います。

 そして、野村美月先生と竹岡美穂先生という、『“文学少女”』シリーズのタッグによる一冊でもあります。私と同じように『“文学少女”』に親しんだ方なら、このお二人の作品ということで、気になるものがあるのではないでしょうか。

 応援したい気持ちで買いましたが、読んでいる途中からは、私自身がこの人たちの物語を見届けたくなっていました。

 いろいろと私個人の感想としては、駆け足気味だなと思ったり、1冊完結がアダとなった気がする作品なのですが、それでも、野村美月先生にお世話になっている私としては『文学少女』シリーズでお世話になった方に読んでいただきたいなと感じる作品です。

④こんな方にオススメ

  • 『“文学少女”』シリーズに親しんだ方
  • 野村美月先生と竹岡美穂先生のタッグによる作品を読みたい方
  • 日常と異世界が重なる物語が好きな方
  • 登場人物たちの恋を、そっと見守るような読書を楽しみたい方

 はじめは少し地味に感じたものの、気がつけば二人の恋を見守りたくなっていた『団地の恋人』。

 終盤には駆け足に感じるところもあり、もう少しじっくり読みたかったという気持ちはあります。それでも、読みやすく、最後まで見届けたいと思わせてくれる物語でした。

 『“文学少女”』でお世話になったお二人の作品を、またこうして読めたこともうれしく思います。

 気になるところも含めて、まずは一度手に取って、この団地の物語に触れてみてほしい一冊です。

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