【永遠の記憶】(東野圭吾)の感想・レビュー|東野先生の最後の作品に対する思いが伝わるガリレオ最後にして最大の謎

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 今回は、『永遠の記憶』(東野圭吾)を紹介します。

 東野圭吾先生の最後の新作になると聞き、手に取った本作。前情報を見ずに読み始めたので、ガリレオシリーズの作品だということも、読む時に知りました。

 私が本シリーズを読むのは『聖女の救済』以来です。

 ガリレオシリーズといえば、不可解な事件を科学によって解き明かしていくガリレオのイメージ。その面白さを期待していた分、科学的な事件?と思うことがあり、少し肩透かしを感じたところもありました。

 それでも、シリーズに残されていた謎と本作がつながった瞬間には、強く心を動かされました。

 私に読書の面白さを教えてくれた一人でもある東野圭吾先生の、最後の一冊。そのことも重なって、いろいろな思いが残る読書になりました。

※この記事では、事件の真相や結末、過去作との具体的なつながりに触れるネタバレを避けて感想をまとめています。

永遠の記憶

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①あらすじ

 刑事・内海薫が、老人に刺される事件が起きる。

 老人は飛び降り自殺を図るものの一命を取り留め、取り調べでは黙秘を続けていた。

 捜査を進める中で、内海に恨みを持つ若い女性の存在が浮かび上がる。しかし、その女性と老人がどのようにつながっているのかはわからない。

 一方、湯川学と草薙俊平は、老人の持ち物を手掛かりに、その背景を追っていく。

 内海が襲われた理由は何なのか。そして、捜査の先には、どのような謎が待っているのか。

 内海を襲った事件から、隠されていた過去へと迫っていく、ガリレオシリーズの長編ミステリーです。

②読んだきっかけ

 東野圭吾先生が亡くなられ、『永遠の記憶』が先生の最後の新作になると聞いたことが、手に取ったきっかけでした。

 前情報を見ずに読み始めたので、本作がガリレオシリーズの作品だということも、その時に知りました。

 ガリレオシリーズを読むのは『聖女の救済』以来で、何年?下手すれば10年単位でずいぶん間が空いていた(一時期読書から離れていた時期もあるので)ので、これまでの作品を読んでいなくても、登場人物の関係や物語についていけるだろうかという不安はありました。

 それでも、東野圭吾先生は、私に読書の面白さを教えてくれた作家です。

 その先生の最後の作品を、発売日に購入して読みたい!!

 そんな思いで、購入し、読みました。

③感想・レビュー

(1)シリーズに残されていた謎につながった瞬間の衝撃

 本作で最も心を動かされたのは、ガリレオシリーズで解けないまま残されていた謎(湯川先生が解けずに終わった謎)に、物語がつながったと気づいた時です。読んでいて、あれ?これって?と思ったのですが

「あっ、あれにつながるのか」

 そう思った時は衝撃的でした。

 どの作品の、どの謎なのか。そこは、これから読む方の楽しみとして伏せておきたいと思います。

 ただ、以前に読んだ物語が、時間を経て、この一冊につながる。その驚きは、久しぶりにシリーズを手に取った私にも大きく響きました。

 しばらくガリレオシリーズから離れていた私にとって、過去の作品を思い返すきっかけにもなりました。昔読んだ物語が、自分の中に残っていたことも含めて、印象に残る場面でした。

(2)最後の作品だからこそ、先生の思いを想像してしまう

 東野圭吾先生の最後の新作だと聞いて読んでいたこともあり、本作には、物語そのものへの感想とは別の思いもありました。

 シリーズに残されていた謎につながった時、先生はご自身に残された時間を意識して、「最後に、これは書いておかなければ」と思われたのだろうか、と考えたのです。

 もちろん、実際にどのような思いで執筆されたのかは、私にはわかりません。先生自身も最後の作品になると知っているからこそ、私がそのように受け止めた部分もあると思います。

 それでも、残されていた謎に向き合う物語を読みながら、先生がこれだけは読者に届けておきたかったものなのかもしれない、と感じました。

 東野圭吾先生は、それまで『ハリー・ポッター』くらいしかまともに読んでませんでした。そんな私に初めて『赤い指』を読んで以来、ミステリーというジャンルの読書の面白さを教えてくれた作家です。

 その先生の作品を、こうして最後まで読むことができた。読み終えた時には、謎への驚きとともに、もう東野先生の新刊が出ることはないのだなという寂しさや読書の世界へいざなってくれた感謝も残りました。

(3)科学で不可解な謎を解くガリレオを期待すると、少し肩透かしを感じるかもしれない

 一方で、最後の作品となる本作を読み終えて正直に思ったのは、「思っていたほど科学していなかったな」ということでした。

 私の中では、シリーズ初期のイメージが強く残っています。

 一見すると説明のつかない不可解な事件が起き、その謎を湯川が科学によって解き明かしていく。ガリレオシリーズといえば、そんな面白さを想像していました。

 そのため、本作にも同じような展開を期待していた分、「これはガリレオシリーズなんだよな?」と、少し肩透かしを食らったような感覚がありました。

 『聖女の救済』以来、シリーズから離れていたことも、この印象につながっているのかもしれません。続けて読んできた方とは、受け止め方が違うところもあると思います。

 ただ、久しぶりに読む私が期待していた、不可解な現象が科学によって解き明かされる驚きは、思っていたほどには感じられませんでした。

 だからこそ本作で強く残ったのは、科学的な謎解き以上に、過去の物語とつながる驚きと、先生の最後の作品を読み終えたという感慨でした。

④こんな方にオススメ

  • 東野圭吾先生の作品が好きな方
  • ガリレオシリーズを読んだことがある方
  • シリーズに残されていた謎が気になる方
  • 久しぶりに湯川や草薙、内海の物語に触れたい方
  • 東野圭吾先生の最後の新作を読んでおきたい方

 『永遠の記憶』は、私が想像していたガリレオシリーズの面白さとは、少し違うところがありました。

 不可解な事件を科学で解き明かしていく展開を期待すると、同じように肩透かしを感じる方もいるかもしれません。

 それでも、シリーズに残されていた謎に物語がつながった瞬間の衝撃は、強く心に残っています。

 そして、読書の面白さを教えてくれた東野圭吾先生の作品を、最後まで読むことができたこと。

 昔、先生の作品に夢中になっていた時の自分を思い返しながら、寂しさと感謝を感じた一冊でした。

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