母親を守るために人を殺め、罪を背負って生きる主人公。
出所後、再び人生を歩み始めた彼が、同じように過去に傷を抱える女性と出会うことで、物語は動き始めます。
罪を犯した人間は、再び幸せになることができるのか。そして、過去の罪とどう向き合って生きていくべきなのか。
一雫ライオンさんの『六月の満月』は、そんな重いテーマを描いた作品です。
先が気になり、一気に読み進めてしまう面白さがありました。一方で、結末については少し納得しきれない部分もありました。
今回は、そんな『六月の満月』の魅力と気になった点を、ネタバレなしで紹介したいと思います。
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①あらすじ
山井章吾は二十歳の時、人を殺めた。出所した彼を出迎える者は、一人もいなかった。
巴実日子は二十二歳の時、ある事件によって未来と希望を奪われた。それでも彼女は、あえて笑顔で生きていた。
そんな二人が出会い、ほのかに惹かれ合う。なんでもない日常が、互いの孤独を溶かしていった。
だが、過去は簡単には眠らない。
ある日、章吾の前に現れた一人の青年。「六十五番さんっすよね?」。その声が告げたのは、刑務所にいた頃の章吾の”名前”だったーー。
三人の宿命が交わる先にある結末とは?
※Amazonの商品ページより引用しております
②読んだきっかけ
一雫ライオン先生は店頭で書籍は見たことがあるものの、今回が初読みです。
読んだ理由は、帯にあり。
帯を読んだ時に、母親のために人を殺めた?人の再生を描いた物語なのか?と思うと、気になって。
そして、ある男が現れてどうなるの?というのがあったので、そこに興味が惹かれました。
赤い月に、二人の背中のシルエット…どんな話?という感じで。
③感想・レビュー
(1)読みだすと、次はどうなるのか?目が離せない展開
32歳で社会人経験のない章吾が社会復帰していくわけですが、殺人を犯して、残りの人生は消化試合みたいに無気力感が漂うはじまり。
そこから、オーソドックスではあるものの、他人と関わって、罪を背負う女性と知り合って、懇意になって世界に彩が戻ってきたと思ったら、ある男が出現して日常が徐々に壊れていくという展開…
わかりやすい起承転結だなと思う反面、オーソドックスでも目が離せない展開でどんどん先へ先へと読みたくなる内容でした。
(2)結末は人を選ぶかもしれない…
物語の前半は、章吾と実日子が少しずつ希望を見いだしていく姿が中心に描かれており、二人の行く末を見守るような気持ちで読み進めていました。
ところが、後半になるにつれて、物語の比重が二人の関係から、登場人物たちがそれぞれの罪とどう向き合うかという部分へ移っていきます。
こ の展開の変化自体は面白かったのですが、個人的には結末に少し引っかかるものが残りました。
人間は弱い存在ですし、いつも正しい選択ができるわけではありません。そのことは理解できるのですが、前半で描かれた二人の姿に引き込まれていたからこそ、もう少し違う着地もあったのではないかと感じたのです。
もちろん、これは私自身の好みによるところも大きいと思います。
結末には納得しきれなかったものの、先の展開が気になってページをめくる手が止まらなかったのも事実です。
面白かったからこそ、結末について考えてしまう。
そんな読後感が残った作品でした。
③こんな方にオススメ
- 罪と償い、人生の再出発を描いた物語が好きな人
- 過去に傷を抱えた人物たちの人間ドラマを読みたい人
- 先の展開が気になるヒューマンミステリーが好きな人
- 登場人物の選択や結末について、自分なりに考えたい人
特に、単純なハッピーエンドを求めるというよりも、登場人物が抱える葛藤や、その後の生き方について考えたい方におすすめしたい作品です。
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