今回は『ギャルにひかれて寺マルシェ』を紹介いたします。
宮島未奈先生の新刊ということで手に取った一冊。しかも、サイン本が販売されていたので、それも購入の後押しになりました。
舞台となるのは、月に1回、マルシェが開かれる地元のお寺。そこで説法をしているのは、ギャルメイクに袈裟姿の「まみたん」です。
そんなまみたんとの再会をきっかけに、語り手の英介と、その悪友・光司が寺マルシェに関わっていく物語。
まみたんの説法には響くものがあり、もっと読みたかったという気持ちも残りました。表紙がギャルの袈裟姿だったので、中心人物はこのギャルだと思ったので…
ただ、読み終えて振り返ると、私が楽しんでいたのは、行動力のある光司と、それに巻き込まれる英介の関係でした。
エクセレント・コージを楽しむ作品として、十分に面白い一冊だったと思います。
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①あらすじ
小学生のころからの悪友・光司に巻き込まれ、タイムカプセルを埋めた場所の見当をつけるため、偵察をすることになった英介。
向かった先は、地元のお寺でした。
そこでは月に1回、寺マルシェが開催されており、ギャルメイクに袈裟姿の「まみたん」が説法をしていました。
その正体は、同級生だった真実子。
思わぬきっかけで再会した英介、光司、真実子。この偶然が、英介と光司を寺マルシェに巻き込んでいきます。
久しぶりに交わった3人の関係は、良くも悪くも、さまざまな化学反応を起こしていくことに。
②読んだきっかけ
宮島未奈先生の新刊が出たということを聞いて。
発売日に買いに行けなかったものの、私の読書ライフで、宮島先生のデビュー作の『成瀬は天下をとりにいく』から初版購入皆勤賞(初めて使う言葉)だったので、初版厨な私はこの本も初版で購入して読まなければなるまいといういつも通りの謎の使命感で購入(ちなみに、デビュー作から初版で揃っている作家先生は宮島先生と遠坂先生のみ)。
書店で見つけた時には幸いにしてまだ、初版本が残っていてそれがサイン本…
これは買わねばなるまい?と思って購入いたしました。
袈裟を着たギャルのお姉ちゃんの表紙。このお姉ちゃんがハチャメチャなことをするかな?寺マルシェ?寺でマルシェ?と思いながら…
③感想・レビュー
(1)身近にあるのに、意外と行かないお寺でマルシェを開く面白さ
読み終えて、まず思ったのは、語り手の英介と同じように、私も地元のお寺をあまり知らないなということでした。
実家の近くや、今住んでいる場所の近くに、どんなお寺があるのか。有名なお寺があるのかと聞かれても、すぐには答えられません。
そもそも、お寺に足を運ぶ機会がほとんどない。神社も初詣とか祭事の時くらいですけど…
お坊さんの説法を聞くのも、法事のときくらいではないかと思います。
お寺って、確かにあんまり行かないな……。
そんな自分にとって、お寺でマルシェを開いて賑やかな感じがあって、面白そうだなと思いました。
普段は用事がなければ行かない場所でも、マルシェが開かれていたら、少しのぞいてみたくなる。お寺に足を運ぶきっかけとして、なるほどなと思います。
そして、本作の英介がお寺へ向かう理由は、信仰でも観光でもなく、悪友に頼まれたタイムカプセル探しの偵察です。
その妙な入り口から、寺マルシェや同級生との再会につながっていくところも、楽しく読めました。
(2)光司に巻き込まれる英介が、気づけば自分もはまっている
宮島先生の作品の傾向なのかは分かりませんが、本作を読んでいて面白いと感じたのは、行動力のある人物と、それに巻き込まれる語り手の関係です。
成瀬シリーズのイメージが強かったり、平安部もそうですが、行動力ある誰かがいて、その行動にお世話係みたいに巻き込まれる。その巻き込まれる側が語り手という感じですかね。
本作品の英介は、悪友の光司に巻き込まれる側。
光司の行動に付き合い、世話を焼いているうちに、気づけば英介自身も寺マルシェにはまっている。私には、そんなふうに感じられました。
最初は相手に渋々と付き合っていたはずなのに、いつの間にか、自分もその場所や出来事に深く関わっている。
この巻き込まれ方が作者のパターンだと思っているところもあり、飽きない面白いところだなと思います。
そして、読んでいる私には、本作品の主人公ポジションにいるのはギャル袈裟の副住職の真実子ではなく、他人を巻き込みながら、突拍子もない行動に出る光司で、その魅力を引き出しているのが語り手の英介なのではないかと思えました。
光司自身を直接追うだけではなく、英介の目を通して見ることで、その行動や存在感が面白くなっているように感じます。
巻き込む光司と、巻き込まれながら関わっていく英介。この2人の組み合わせが、私にとって本作を楽しむスパイスになっているのではないかと思いました。
(3)まみたんの説法パートはもっと読みたい。でも、エクセレント・コージは外せない
ギャルメイクに袈裟姿で説法をする、まみたん。
その姿も印象的ですが、説法には確かに響くものがありました。
だからこそ、まみたんの説法が思っていたより少なめだったことは、少し残念だなと思いました。
表紙の装丁もまみたん推しかなと思う表紙だったし、説法ありきかと思っていた部分もあるのですが、もう少し説法を聞きたかった、もう少しまみたんの登場が欲しかったというのは本音です。
タイトルから、まみたんの活躍や説法を中心に期待して読むと、そのあたりは物足りなく感じるかもしれません。
しかし、読み進めるうちに、光司と英介のやり取りを読んでいるのは楽しかったです。
わたしもこの記事を書いている時は40代ですが、意外と小学校、中学校、高校の友達と会って遊ぶ機会ってそんなに多くなくて、年に1~2回飲みに行くくらい。
そう思うと、本作品の30歳の登場人物たちは、地元で私なんかよりも密に連絡を取りながら、地元の友達の寺を盛り上げるべく楽しんでいる感じは羨ましくさえありました。
まみたんの説法はもっと読みたかった。でも、光司と英介のやり取りや、エクセレント・コージを楽しむ作品としては十分面白い。
そんな感じの読後でした。
④こんな方にオススメ
- 宮島未奈先生の作品が好きな方
- 行動力のある人物と、それに巻き込まれる語り手の関係が好きな方
- 同級生との再会から始まる物語を楽しみたい方
- お寺で開かれるマルシェという舞台に興味がある方
『ギャルにひかれて寺マルシェ』は、思わぬ再会から、英介と光司が寺マルシェに関わっていく物語でした。
普段あまり足を運ばないお寺で、マルシェが開かれている。その舞台設定を楽しみながら、光司に巻き込まれていく英介の姿を面白く読みました。
まみたんの説法には、もっと触れたかったという気持ちがあります。
それでも、エクセレント・コージと、それを語る英介の組み合わせを楽しめた一冊でした。
そういえば、私の近所にお寺ってあるのだろうか?という興味も湧く一冊でもありました。
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