【猫を処方いたします。⑥】(石田祥)の感想・レビュー|人に頼ってもいい。読む私にも薬を処方してくれた物語

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 今回は『猫を処方いたします。⑥』(石田祥)を紹介いたします。

 誰かに頼ってもいい。そう言われるだけで、少し気持ちが楽になることがあります。

 新刊が出るたびに読んでいる『猫を処方いたします。』シリーズ。第6巻は、初期のはちゃめちゃな面白さが落ち着いてきた一方で、人に頼ること、そして頼ってもよいのだということを、優しく伝えてくれる一冊でした。

 登場人物たちに猫が処方されるこの物語は、私自身も

人に頼ってよい

 と感じた第6巻です。

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①あらすじ

 悩みを抱える人たちに、薬ではなく本物の猫を処方する「中京こころのびょういん」。

 第6巻では、前巻からの続きということで、今回もニケ先生が奮闘します。一方、獣医の心先生も何かを抱えているようで……。

 猫と人との関わりを通して、心が少しずつほぐれていく『猫を処方いたします。』シリーズの第6弾です。

②読んだきっかけ

 『猫を処方いたします。』は、新刊が出るたびに読んでいるシリーズです。

 今回も第6巻が発売されることを知って発売日に手に入れてきました。

 巻を重ねるごとに、次はどんな話になるのだろうという楽しみに加えて、この物語はどこまで続いていくのだろうという気持ちも大きくなっています。

 それにしても、表紙が相変わらずかわええなぁ…

 あと、新刊が出ることの安堵と、新刊を購入したときに

 もしかして、今巻が最後になるのかな?

 という何とも言えない気持ちを抱きながら…

③感想・レビュー

(1)人に頼ること、頼ってもよいことを教えてくれる

 今回、特に心に残ったのは、人に頼ることの大切さと、人に頼ってもよいのだということでした。

 仕事で困っていても、忙しくてそれこそ猫の手も借りたいと思うときであっても、自分で何とかしなければと思ってしまうことがあります。

 そういう時に誰かに頼るのは申し訳ないと感じて、ひとりで抱え込んでしまうこともあると思います。

 そんな気持ちに対して、本作はそっと「頼ってもいい」と伝えてくれるように感じました。

 頭ではわかっていても、困っている時だからこそ実際に人を頼るのは難しいものです。それでも、物語として読んでいると、その言葉を少し素直に受け取れる気がします。

 読み終えたあと、自分ももう少し人に頼ってみてよいのかもしれないと思える。今回は、そんな優しさが心に残る一冊でした。

(2)私にとっても、薬を処方されているように感じる作品

 シリーズ初期にあった、はちゃめちゃな面白さは、シリーズが進んでいくと落ち着いていっている本作品。

 相変わらず、患者とニケ先生とのかみ合わないやり取は続くのですが、シリーズを重ねると、ニケ先生の事情もわかっているせいか、くすっと笑えるところが減ったなという寂しさもあります。

 その分、処方された猫たちがシリーズを盛り上げてくれているような気もするので、頑張れ猫たちという感じはあって、それはそれでほっこりできるなと思うので、決して面白くなかったわけではありません。

 私にとってこのシリーズは、読んでいる自分にも薬を処方してくれているように感じる作品です。

 猫を処方されたからといって何かが一気に解決するわけではありません。それでも、物語を読むことで気持ちが少しほぐれたり、自分の抱えていることを違う角度から見られたりします。

 今回は人に頼れない不器用な人たちや猫たちが出てきて、

 困っているなら「人に頼ってよい」

 ととれるメッセージも、今の自分に処方された薬のように感じました。

 猫が自由にふるまって、毎回、猫を処方された患者が振り回されるだけといえばそれまでなんですが、それを読者である私たちが眺めて、読んでいる読者が自由にメッセージを受け取れるというのが面白いシリーズなのだろうなと改めて思いました。

(3)続きが気になる一方で、巻数そのものが展開の手がかりになる

 このシリーズは、途中から巻を重ねるごとに、いつ終わっても不思議ではないと感じるようになっています。

 今回も、最後まで読みながら、今回のメインの患者は誰なのか?と想像しながら読むのですが、それと同時に「次の巻はあるのだろうか」とドキドキします。

 好きなシリーズなので、続いてほしい気持ちもありますし、どのように物語を締めくくるのかも気になります。

 そして、続巻が出ているとわかること自体が、ある意味ではネタバレになってしまうところもあります(今5巻を読んでいる時に6巻がでていると続くことがわかる)。

 今から読み始める方々にはある意味続くことが読む前からネタバレになりそうなシリーズになりつつあるなと思っています。

④こんな方にオススメ

  • 『猫を処方いたします。』シリーズを読み続けている方
  • 猫と人との関わりを描いた、優しい物語が好きな方
  • 悩みをひとりで抱え込み、人に頼ることが苦手な方
  • 少し疲れたときに、心がほぐれるような読書をしたい方

 初期のはちゃめちゃさや、くすっと笑える場面を期待すると、どんどん寂しくなっていくシリーズかもしれません。

 それでも、人に頼ってもよいのだと伝えてくれる今回の物語は、私にとって、仕事で悩んでいた時に読んだので、まさに薬を処方してもらえたような一冊でした。

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