【死んだら永遠に休めます】(遠坂八重)感想・レビュー

①あらすじ

無能なパワハラ上司に苦しめられながら毎日深夜まで働き詰めの生活を送る28 歳の主人公・青瀬。突然失踪したパワハラ上司・前川から届いたメールの件名は「私は殺されました」。本文には容疑者候補として「総務経理本部」全員の名前があった。

限界会社員・青瀬と妙に頭の冴える派遣社員・仁菜は二人で真相解明に取り組むのだが……。

※Amazon商品レビューより抜粋しております。

②読んだきっかけ

 作者のデビュー作『ドールハウスの惨劇』のタコ糸研究会の高校生コンビが持ち込まれた事件を解決するシリーズから追いかけていて、新作が発表された時に

また不穏なタイトルを…

 と思いつつ、おそらく作者を知らなくても装丁や帯をみて買っていただろうなと思う作品で楽しみにしておりました。

 タコ糸研究会みたいな面白い掛け合いとかも楽しみにしつつ、発売日に購入しました。

③感想・レビュー

 ミステリーなので、ネタバレにならないように注意しつつ、書きたいなと思いますが、帯にあるようになかなか最後は衝撃的だったなと思う作品です。何が衝撃とは言いませんが。

 ヒロイン限界社員の青瀬視点で語られるストーリーなのですが、その青瀬の仕事へのやみっぷりがとにかく凄く、また、そのメンヘラ気味の視点のせいで、どういう風に推理すれば、この作品の謎は解けるのだろうかと思いながら読みました。

 また、癖のある登場人物も出てくるし、ある日突然失踪したパワハラ上司の生死も不明のまま、これ本当におさまりがつくのか?と個人的には不安があったものの、解決編でおおっ!!となり、これは楽しい読書時間だったなと読後は感じました。

 パワハラにブラックな職場環境という設定というのは私は読むのは初めてだと思うのですが、読後もここが凄かったなと思うのは

・パワハラというだけで殺人の動機になり得る

・ブラックな職場環境に置かれた従業員のメンヘラは読者の推理を惑わせることができる

 です。

 語り手がメンヘラというだけで、これだけ難易度が上がるものなのかと思うほどに悩ましい要素だったし、確かに毎日精神をすり減らしていくパワハラ上司の言動に対してはそら殺意が湧くなと思います。

 そして、ネタバレになるので詳しくは書かないですが、ブラックな職場環境になるのはそれ相応の理由があるんだろうなという気づきを得られた作品でもあります。

 こういうパワハラ、ブラックな職場、大げさかもしれませんが、似たような環境って本当にあるなと思います。

 そういう意味では、本作品の職場環境ってある意味自分の勤め先でも大なり小なりありえることなんだろうなと思いました。

 もしかすると、私やあなたも気が付いていないだけで、その状況に飲み込まれているかもしれませんし、ブラックな職場になっているのはもしかすると…

 そんなことを考えさせられた作品です。

 定時帰りできるように仕事しないといけないなと改めて思わされたミステリー小説です。

④こんな人にオススメ

・パワハラ×ブラック職場のミステリーと聞いて興味が湧いた方
・もしかすると、自分もブラックな職場にやられているなと感じる方

・メンヘラヒロインの語りに翻弄されたい方

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