①あらすじ
主人公の潤間さやかは、中学の卒業証書を受け取っていない。
義務教育さえまともに終えていないという枷が、社会でも家庭内でも、さやかを生き辛くさせていた。
しかし、ある日、さやかは夜間中学という存在を知る。
それは、戦争や貧しさや病など、さまざまな事情で義務教育を終えられなかった大人たちの集う学校だった。
二十歳の春、さやかは河堀夜間中学への入学を果たす。
仲間たちに支えられて過ごす日々が、学校や親への不信で雁字搦めだったさやかの心を解きほぐしていく。
やがて、さやかには密かに叶えたい、という夢が芽生え始めるのだが……。
※Amazonの紹介ページより抜粋しております
②読んだきっかけ
書店の店頭に並べらていた本作品。
夜間学校が舞台?となると、『宙わたる教室』(伊与原新)を思い出した私。
小学生のころ映画館で見た『学校』(山田洋二監督)も子供ながらに凄く良い映画だなと思ったこともあり、夜間学校が舞台になっている作品はどれも心に残るイメージのあり、読んでみたいなと思い、購入して読みました。
③感想・レビュー
本作品に出会えてよかった
読後は素直に思った作品です。
いじめと不登校で中学校に普通に通うことができなかったヒロインのさやか。
いじめっ子たちは何事もなく中学を卒業して高校に行って、もしかすると大学のキャンパスライフまで謳歌しているかもしれないのに、自分はその人たちのせいで履歴書に中学校中退という事実を書いて情けなかったり、他人には言えなかったりしながら生きていかなければならない。
どうして自分が…
そんな思いすら抱いていた20歳になったさやかに、中学生をやり直すチャンスが訪れる。
きっかけは、働いているレンタルビデオ屋で、客に『学校』(山田洋二監督)を案内したところから。
夜間中学校の存在を知り、夜間中学校に通うことになったさやかですが、夜間中学校には様々な理由で学校にいけず、読み書きすらできないさやかよりもうんと年上の人生の先輩たちがいました。
夜間中学校の生徒たちはというのは基本わけありの方々なのですが、中学を卒業していない以上に悩みは深刻で、日本人として暮らしているのに字が書けない、字を読めないまま生きるということを強いられた方も通っている。
文字を書ける、文字を読めるということを当たり前にできるということが実はどれだけ素晴らしいありがたいことなのか考えたことなかった私は、本作を通じて、自分ができる当たり前というのは決して当たり前のことなんじゃなくて、当たり前のことができるということは本当に平和に不自由なく育てられた証なのだなと感じました。
本作品の登場人物達から得られる気づきもありますが、本作品を読んでいて読後に思ったのは
学校って本当は楽しいところなんだな
ということでした。
私の小学校や中学校、高校と思い返してみても、思い出すのは台風や学級閉鎖、夏休みで授業が休みになることが嬉しかったし、学校行ってる時よりも帰って家で友達とゲームする方が楽しかったという気持ちは思い出せますが、明日も学校に行きたい、待ち遠しなんていう感情が湧いて毎日が楽しかったという思い出はありませんでした。
本作品の夜間中学に通う生徒たちは、どちらかというと全員が学校で過ごすということが楽しそうという感じもするし、皆訳ありで苦労された生徒たちのはずなのですが、前向きで明るい人が多いという印象。
こんな学校生活が羨ましいなと思うほどに楽しさが伝わってきました。
もしかすると、こういう感想はKYなのかもしれないのですが。
そして、十数年ぶりぐらいに『学校』(山田洋二監督)がみたくなり、アマゾンで早速DVDを購入したことはナイショです。
④こんな方にオススメ
・夜間中学校に通う生徒たちから元気をもらいたい方
・当たり前にできることは決して当たり前じゃないと感じたい方
・『学校』(山田洋二監督)が好きな方
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