【クラスで浮いてる宇良々川さん】(四季大雅)感想・レビュー

①あらすじ

 「宇良々川さん、最近ちょっと浮いてね?」
学校の休み時間、すやすやと眠る宇良々川さんは浮いていた――物理的に。

物理学的にあり得ない宇良々川さんの秘密を知った物理学信奉者の菊池一成(通称ハカセ)は考えた。無重力状態にある彼女の体重はゼロの可能性がある……宇良々川さんがパイロットになれば、鳥人間コンテストで大会新記録を出すことも夢ではない! 交通事故で負傷した自分の代わりに人力飛行機のパイロットにするべく宇良々川さんを飛行機部に勧誘するハカセと個性的すぎる部員たち。だが、彼女には誰にも話せないある事情があって……。

物理法則に反する少女と、物理学を信奉する少年。何もかも正反対な二人が織りなす、悲喜こもごもな青春グラヴィティ小説。

※Amazon商品紹介ページより抜粋しております

②読んだきっかけ

 ガガガ文庫でのデビュー作『わたしはあなたの涙になりたい』を読んで以来追いかけている作家さんの新作ということで購入いたしました。

 追いかけている作家さんの作品が発売されるのってワクワクしますよね(笑)

③感想・レビュー

 作者である四季先生らしい青春小説だなと思うのが第一の印象です。

 ただ、この感想書いて、作者の作品初見の方に伝わるわけがないので、詳しく書きますと、

 ただの青春小説でライトノベルレーベルらしいギャグ要素のあるちょっと謎めいた話というだけでは終わっていないという作品です。

 作品の根幹には、自分には見えないもの他人からは見えないことについて描かれており、それが作品のファンタジー感やいろいろな気づきにつながっていくというものになっているのではないかと思います。

 たとえば、「りんご」というものを思い描いてみても、私たちの認識では、それがいろいろな品種があることは別として「見た目は赤い、甘酸っぱい果物」という認識にほぼなるはずです。

 ところが、これが、「正義」となるとなと、この意味は十人十色で意味が変わってきます。

 戦隊ものや仮面ライダーなどの悪をやっつけるヒーローが出てきたり、正しければ間違っている相手に何やっても良い(例えば差別、いじめ、殺人など)という意味で、まさに割ってってみると中から何がでてくるかわからないものがる。

 目に見えるものだけではなく目に見えないものには希望があったり絶望があったりするということが描かれていて、ただ青春小説でアホなことをやっているだけではとどまらないというのが本作品の凄いところなんじゃないかと思います。

 そして、割ったら何が出てくるのかわからないものに惑わされないためにはどうするかという道しるべの一つも本作品に示されております。

 ただ、結構話の内容が場面が飛ぶ分複雑だし、あまり難しくないように工夫はされているとはいえ力学的なこともちらほら書かれているので、読んでいてとっつきにくいというのも否定できないです。

 ここを面白く感じられるのであれば、笑いあり、ファンタジックな青春小説だと思います。

④こんな人にオススメ

・少し小難しい青春小説を読んでみたい方
・E=MC²など理系的な説明が大好物な方、もしくは苦にしない方
・対人関係で相手の気持ちなど目に見えないことに怯えている方

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