①あらすじ
――僕、怪異譚は好きだけど、
臨床の現場に出ているときはすべてを信じないよ。なんとしてでも理屈をつける。
科学に基づかない医療は危険でしかないからね。
星森大学心理学部臨床心理学科の教員、佐伯翼。
趣味で怪談を蒐集する変わり者。
佐伯ゼミの学生である多度結良と沖山修一が、謎に満ちた怪異事件に次々と巻き込まれ……。
心理学の知識とカウンセラーの観察眼で、不可思議な事件の謎を看破する。
結良はボランティアで参加した施設で「山で幽霊を見た」という女子高生と出会う。女子高生の心の傷、そして“幽霊”の正体とは?(――秘密)
「毎晩この部屋で亡くなったおばあさんが現れる」と怯え、
引きこもりになっている大学生。“心理的瑕疵物件”であるその部屋にはすべてを覆す「嘘」が隠されていた。(――優しい嘘)
7つの連作短編、そして最後に明かされる恐怖とは――。
現役の大学教員であり、怪談蒐集家が描く臨床心理学×ホラーミステリー、ここに開幕!
※Amazonの商品紹介ページより抜粋しております。
②読んだきっかけ
書店でタイトルを見た時は「瑕疵」という単語が入っていたので、民事系の法律が絡む小説かなと思っていたら、臨床心理学×ホラーミステリーの帯を見て、なにこれ?面白そうとなりました。
ホラーを心理学で解き明かすって普通に面白そうじゃないですか?
ホラーやオカルトなんて臨床心理学で解き明かしてやるよ!くらいの強気感が出ているし、東野圭吾のガリレオみたいなやつなのかな?とタイトルと帯で思って購入。
そして、私の今年の44冊目にはうってつけなタイトルだなと思いながら、読みました。
③感想・レビュー
※ここからは、私の覚悟の上での感想となります。批判的なことも書くし、結果的に展開のネタバレが含まれますので、ご注意ください。
臨床心理学の教授が、ゼミ生から持ち込まれるオカルト的な相談を臨床心理から解き明かすというお話。
七不思議にかけて、オカルト話が7章あるというのも洒落ているなと思うし、読んでいて、オカルトはまさにその人に潜む傷(瑕疵)というところで、心の傷と臨床心理の相性は抜群だなと思いましたし、明らかに回収されるんじゃね?と思う謎も各章に散りばめられていて、最後どうなるの?とワクワクするほどには読み進めるのが楽しかったです。
それは素直に面白かったです。
ただ、私の読み間違いか、認識違いなのか、でもやはりミステリーだと帯に書いている…
ここから展開のネタバレになりますが、各章に感じた無理やり臨床心理学で説明したような感じで謎を残したままのその謎…
回収されません…
最後に、えっ!?となりました…
いや待て、落ち着け、これは流行のQRコードとかあって、実はその謎の回答編がネットであるのかと思ったら、そうではなくて、瑕疵ある世界だし、実際にあった話を元ネタにしてるしなぁで終わってしまったという…
確かに、瑕疵ある世界の中だけで起きているのかもしれないし、実話に基づいている…ホラーとしては良いと思います。
ただ、そうなると、臨床心理学では論理的に説明できなくて、無理やり臨床心理学で説明しただけの話になるし、ミステリーじゃなくね?というのが率直に思いました。
もう一つ、ミステリーだということが頭に読みながらあるので
オカルト部分も何らかの仕掛けが作者によってされている
と思いながら読むので、正直、怖さよりもどこに仕掛けがあるのだろう?という気持ちで読むのでホラーとしては怖さ半減でした。
多分、ミステリーと書いていなかったら、きっと、もうちょい怖いと思いながら読んだよ?と思いましたし…
実話をもとにしたとしても、ミステリーという触れ込みで書いているならば、無理やり臨床心理学で説明した部分について作者はなんらかの回答を示さなければならなかったのではないかと思います。
これこそ瑕疵ある世界だから説明が付くのよには私はならなかったなと思います。
もちろん、作者は本作品をミステリーとしては書いていないというのでしたら、完全に私のミスリードですし、でも、帯にミステリーって書いてるもんなぁ…う~ん…
ということで、あまりミステリーを頭の隅に置かずに臨床心理学v.s.オカルト・怪異譚として読む分には面白い作品だろうなと思いつつ、ミステリーとは違うんじゃね?と思ったのが私の読後感でございました。
ミステリーという単語が私には邪魔だったかもなぁ(しつこい)
④こんな方にオススメ
・ここまで読んで、ミステリーは一旦忘れて読みたい方
・臨床心理学とオカルトの対決を読んでみたいと思う方
・ははっ、ジジの読み方が悪い。我こそは読んで別の感想を抱くに違いないと思う方
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