【私の居場所はここじゃない】(安部若菜) 感想・レビュー

①あらすじ

 舞台は大手事務所主催のエンターテイメントスクール。
 3月にある事務所所属をかけたオーディションに向け、高校生5人はレッスンに励んでいた。
 友達と一緒に応募したオーディションで特別に声をかけられ、成り行きでアイドルを目指すことになり、当たり前だった「青春」や友人関係に息苦しさを感じ始める莉子。
 亡くなった母の期待を背負い、結果を残したいと焦る、ダンスボーカルグループ志望の冬真。
 「子どもを産まなければモデルになりたかった」という母の言葉で将来の夢を決め、SNSの活動を頑張るモデル志望の美華。
 「普通」「真面目そう」と言われ続けてきたことにコンプレックスを抱き、「特別」になりたいと強く願う俳優志望の純平。
 いじめが原因で自ら芸能活動を辞めたが、もう一度自分の居場所を求めて入学を決意した、元天才子役のつむぎ。
 嫉妬や葛藤を乗り越えて彼らが最終オーディションの舞台に立つとき、どのような”光”を放つのか――。
※Amazon抜粋

②感想・レビュー

 それぞれの登場人物ごとに芸能人になるという決意のもとに芸能スクールに通っているのですが、小説のタイトルにあるように「居場所」に関する物語だと思いました。
 私も経験があるのですが、学校生活、社会人生活(会社での生活)それぞれに、仲間やグループに属することが多く、新しい生活が始まる度にまさに本作品のように自分の「居場所」探しがはじまるわけです。
 ところが、自分の居場所に居続けるためや居場所に行くためにはスキルを身につけなければならないこともあれば、その居場所に居るためにキャラクターを演じなければならない、あるいは本作のようにオーディションで他人と競って勝ち抜かなければならないなどなど、芸能スクールの高校生たちの登場人物の話なのに結構身近なものとして感じました。
 そして、なんとか居場所を見つけた時にふと思うことがあると思います。

 「ここは私の居場所ではない」と。

 そう思ったら、次の居場所のために居場所から去って新しい居場所を探す旅に出ます。時には本当に居たい居場所なのに能力不足などで居場所を追われることもあるかもしれませんが。

 そして、今の居場所から離れて新しい居場所を見つけた時、その居場所は本当にあなたの望んだ居場所となるだろうか。

 本作の5人の高校生の居場所を通じて、私自身の居場所を思い出したり、今の居場所を考えさせられる作品だなと思いました。

 作者が元NMB48のアイドルということもあり、芸能界で輝くほんの一握りの人たちを見てきた方ということもあり、芸能人としてデビューするまでの大変さはもちろんリアルですし、あまり描かれてはいませんが、デビューしたあとの競争の大変さも伝わってくる作品でもあります。 

③こんな方におすすめ


・今の自分の居場所に悩んでいる方、もしくは悩んだことのある方

・夢を追いかけている方(特に芸能界デビューしたい方)

私の居場所はここじゃない [ 安部 若菜 ]価格:1760円
(2025/1/12 15:57時点)
感想(0件)

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です