①あらすじ
2024年元日、能登半島に震度7の地震が襲った。
大阪で暮らすホテルマン・星場恵介は、故郷で震災が起こったことを入院中の父に伝えた。
能登半島で生まれ育った両親は戦後、若くして大阪に出、今は二人とも入院生活をしている。
同じ病院にいながら会うことのできない両親を案ずる恵介に、父はこれまで語らなかったふるさとでの母との思い出、そして故郷を離れ波瀾万丈の人生を送った一族の話を語り始めた。
※Amazonの商品ページより引用しております。
②読んだきっかけ
今年の1月に読んだ作者の『あの夏のクライフ同盟』。年代も違うのに私の中学時代を思い出して妙に共感してしまい、懐かしい気持ちになれたというのもあるかもしれませんが、おそらくそういう共感をまたくれるのではないかと、書店で新刊をみて思いました。
↓あの夏のクライフ同盟のレビューはこちら
あの頃僕らはアホだったけども、一生懸命だったことを思い出す【あの夏のクライフ同盟】(増山実) 感想・レビュー – ジジの読書部屋
本作品は能登の地震がでてくるということで、バリバリの震災話だったら、ここ最近読んだ本のこともあり、しんどいなぁと思いながら、でも、読んでみたい。
帯からは、もしかすると、能登の地震で被災に遭った方が他府県に移住して暮らしていくという話かもしれないくらい、前知識なしで読んでみました。
③感想・レビュー
まず、地震で被災した方が生活を立て直すというではありません。
能登の大地震をきっかけに両親の幼い時や大阪に出てきたときの話を聞いたり、実際に両親の代わりに息子である主人公の恵介が震災後の復興を目指す能登の親戚や現地の両親にゆかりのある場所を訪ねたりするというお話。
私は、去年の11月に母が他界したせいか、母親が入院してなかなか話すらできないという状況を読んだりすると、入院中特に容体が急変して数日で息を引き取ったことを思い出してしまい、個人的には涙なくして読めない作品でした。
そんな私も本作品を、両親のなれそめや幼かったときのことなど私の生まれる前の両親や親戚のことって意外と何も知らないことに気が付きます。
もしかすると、お盆で田舎に帰った時にいろいろな話をしたのかもしれませんが、その当時は幼かったり、若かったりでそんな話興味もありませんでした。また、年を重ねて独立すると、なかなか親戚の田舎へ足が向くことはなく、そういう話もしなくなります。
ただ、本作を読んでみると、SNSやテレビで有名な人でもないし、歴史に残すような人物じゃない、いわゆる誰もしらない一般人でも、生きぬいた人たちのエピソードというのはめちゃくちゃ面白いなと思いました。
そして、共感できたことは、親戚や親の話を聞いて当時の話し手である主人公たちを想像するというのが楽しいということです。
ここ最近、父から聞いた、母と初めて旅行に行った話は、話を聞くだけじゃなくて、私が生まれる前の若いころに生きていた父と母の姿なんて見たこともないですが、まるで頭の中に父と母が生きているように想像できて、これが凄く楽しそうで、話を聞いて良かったなと思いました。
私の思い出の中で亡くなった母、亡くなった親戚も生きてはいますが、いきいきと生きているなと思う時は、父や親戚から話を聞いたときだなと改めて思いました。
もう、話すこともできなくなった人たちとは会えませんし、離れた故郷も変わってしまったかもしれない。
でも、ふと夜空をみあげてみてください。
そこには、昔も今も変わらない何億何兆という星が輝いていて、もう会えなくなったあの人も見た星や、故郷で見上げた同じ星が輝いています。
もしかすると星は全てと繋がっているかもしれない
ロマンチックに締めてしまいましたが、本作品を読んで少しでも星を見上げて今と過去をつなげてほしいなと思った作品です。
④こんな方にオススメ
・亡くなった大切な人に思いを馳せたい方
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