戦時中の科学者たちの戦い。原子爆弾の開発研究をした人たちを描いた作品【太陽の子】の感想

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①あらすじ

 1945年の夏。軍の密命を受けた京都帝国大学・物理学研究室の若き科学者・石村修(柳楽優弥)と研究員たちは、原子核爆弾の研究開発を進めていた。研究に没頭する日々の中、建物疎開で家を失った幼馴染の朝倉世津(有村架純)が修の家に居候することに。

 時を同じくして、修の弟・裕之(三浦春馬)が戦地から一時帰郷し、久しぶりの再会を喜ぶ3人。

 ひとときの幸せな時間の中で、戦地で裕之が負った深い心の傷を垣間見る修と世津だが、一方で物理学に魅了されていた修も、その裏にある破壊の恐ろしさに葛藤を抱えていた。

 そんな二人を力強く包み込む世津はただ一人、戦争が終わった後の世界を見据えていた。それぞれの想いを受け止め、自分たちの未来のためと開発を急ぐ修と研究チームだが、運命の8月6日が訪れてしまう。

※Amazonのプライムビデオのページより抜粋

②映画館での特別上映で視聴

 2025年は戦後80年ということで、映画館で期間限定の特別上映されました。

 もともと2020年の戦後75年の時にNHKのテレビドラマとして放送された作品。今は亡き三浦春馬さんも出演されていた作品としても有名な作品です。

 特別上映分は、未公開のメイキング映像が流されるということで、2025年8月31日に映画館でポップコーンを片手に視聴してきました。

③感想・レビュー

 主に、京都帝国大学・物理学研究室で核分裂を研究する石村修視点で描かれる本作品。

 日本がアメリカとの戦争に勝つための手段として、ウランの核分裂を利用した爆弾の開発を行っていたということをご存じでしょうか?

 もしかしたら知らない人も多いかもしれないこの事実。

 科学者たちも戦争に勝つために闘っていたんだということをまず教えてくれる作品でもあります。

 そして、この戦争に勝つためには新型爆弾である、原子爆弾の開発競争に勝った国が戦争に勝つということを知っていたため、アメリカと開発競争を描いた作品ともいえます。

 結果はどうなったかは、知っての通り、歴史がネタバレをしてくれるわけですが、日本の科学者たちはアメリカとの競争に敗れました。そういう意味では、科学者たちの敗北を描いた作品でもあると言えます。

 しかし、作中にもあるように、では彼らの敗北は意味がないのか?、兵器を作るために研究をすることの意味はあるのか?という問いに対して、彼らのやったことは決して無駄なことではないという救いもあります。

 原子爆弾の開発というと大量破壊兵器の開発で人類を滅ぼすかもしれない研究ですが、そのエネルギーの応用は、私たちが恩恵を受けた原子力発電など人々の暮らしを豊にするという功績ももたらしました。

 零戦をつくっていた研究者たちが新幹線を作りあげたようなもので、彼らの研究は決して人殺しの道具にだけ使われるものではなかったというところに私は救いがあるなと思いました。

 本作品は、主人公たちが住む場所は空襲被害がなかった京都ということもあり、空襲で人が死ぬ、住処を失うという、空襲で人が死ぬというシーンはありません。

 それでも、十分に伝わってくる戦時中の日本が狂っていたなという状況や、その状況下でも戦後という未来のことを考えていた人達もいてただ、戦争の中で戦争のためだけに生きていたんじゃないのだなと感じました。

 そして、今だからこそ、考えられることというのもあって、こういうことを思うのは、戦争で被害にあわれた私の祖先達に対して申し訳ないのですが、

 日本の科学者が原子爆弾の開発競争に勝たなくて良かった

 なと思いました。

 私は当時を知らないし、知るすべも書籍や映像作品、資料などでしか知ることができない80年前ですし、広島や長崎の原爆被害を軽るみているわけではないのですが、映画をみていて

 もし日本が原子爆弾の開発競争に勝って、原始爆弾を使う側になっていたらどうだったのだろうか?

 このなかったIFストーリーが実現していたら、今の世界はもしかすると戦争は核を使ったもの勝ちみたいな世界になっていたかもしれない(日本がアメリカに原子爆弾使ってたら、今の日本は核を戦争で平気で使う国になっていたのではないかと思っています)。

 そう思うと、日本の科学者たちが新型爆弾開発競争に勝てなかったおかげで、今の日本の平和があるのかもしれないと思った作品です。

④このシーンがジーンときた

 作中で、私は泣いたシーンがあります。

 それは、修の弟の裕之が軍に戻る日に母親が裕之のためにおにぎりを無言で握るシーンです。

 米が希少になった状況の中、裕之が出発する日の朝に米を炊いて無言で息子のために白米のおにぎりを作る母親。

 また、そのおにぎりがめちゃくちゃでかい!!

 出兵したら、もう二度と会えないと悟っている母親の息子にできる最後のことは、「息子のお腹を白米でお腹いっぱいにすること」だと思っているのか、無言でおにぎりを結ぶ母親の姿にただただ泣けてきました。

 何も語らない、ただおにぎりを握るシーンがいろいろなことを想像させるシーンとして一番残っています。

 私は母親になったことはないですが、親って子供に対して確かにそういうものですよねと思いながら、ただただ、泣けました。

 それくらい私は、本作品のなかで母親がおにぎりを握るシーンは本作の一番の名シーンだと思っています。

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