ただのファンタジックな精霊の世界を描いた作品じゃありません【皇后の碧】(阿部智里)の感想・レビュー

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①あらすじ

 少女ナオミは、風の精霊を統べる皇帝から「私の寵姫の座を狙ってみないか?」と突然誘われる。

 皇帝の後宮には皇后と愛妾(つま)がおり、彼の胸には皇后の瞳の色に似ている緑の宝石を選び抜いた首飾り「皇后の碧(みどり)」が常に輝いていた。

 訝りながら己が選ばれた理由を探るうち、ナオミは後宮が大きな秘密を抱えていることに気づくが……。

※Amazonの商品レビューより掲載しております。

②読んだきっかけ

 もともと、書店の目立つところに置かれていた本作品。

 XのTLでも見かけていたのですが、読むと初読み作家さんということや表紙もそこまでそそられるものでもなく、ファンタジーという気分でもなかったため読む気になれば…くらいの感じでスルーしていた本作品。

 とはいえ、ずっと気になっていた作品でもありますので、読みたい頃が読み頃よ?ということで、ふと読みたい欲に駆られて購入いたしました。

 正直、なんで読みたくなったのか?というのはわからないのですが、ある意味、私の気まぐれ読書らしいなと思いながら。

③感想・レビュー

 初読み作家さんで、前知識もなく読んだ作品で、読みはじめに、精霊の世界なんだぁ…くらい知らずに読んだのですが、読んだ感想としては。

 いい!!凄くいい!!

 というのが、率直な感想です。

 まず、ファンタジーなので小難しい内容とか出てきてあまり想像できないものだったらどうしよう?と思ったのですが、精霊界のファンタジー以外は人間臭さがあるからかもしれませんが、すぐに世界観に入り込めました。

 想像しやすく、精霊の世界の美しさみたいなものも感じるし、そこまで複雑な世界観ではないなと感じる世界だったので、ファンタジーやSFで、これ何言ってるの?感がなくて、すぐに作品の世界観に馴染めたというのが大きいかなと思います。

 美しい世界の中で、どこかドロドロしている話で、平和はもしかすると一瞬で崩壊するかもしれないという危うさも感じる世界。

 そんな世界で、理不尽なことに巻き込まれつつも周りの人に助けられて生きてきたヒロインである土の精霊のナオミが、平和の謎に巻き込まれていくというのも面白ないと思いました。

 そして、そのナオミが謎に触れて更なる謎を読んで、最後本当に収拾がつくのか?と思うくらいだったのですが、これで個人的には最後全部説明がつくというのも凄いなと思います。

 本作品はミステリー的な謎もあるファンタジーなのですが、大切なことというか、気づきみたいなことも多く含まれていて、はっとすることも多いなと感じる作品でもあります。

 私の中で、特に印象が残っているのは、ナオミが支配者たる蜻蛉帝シリウスに見初められてて籠姫として巣の宮に移ったときのお世話役のジョウがまじないを使えないナオミに伝えた言葉が好きです。

 精霊として何のまじないもできないナオミが、役に立たないことを嘆くシーンがあるのですが、ジョウが伝えたことは

 役に立つ必要はない

 ということ。

 私たちは、どうしても仕事をしている上で、「役に立たなければならない」と漠然と思っていると思います。

 しかし、この「役に立たなければならない」という言葉は時に呪いのように自分を不必要に追い込んでしまうことが多々あります。

 この言葉は役に立つ必要がないといういわゆる「無能たれ」ということを推奨しているのではなくて、組織に属している以上、怠けているからとかそういう特殊事情がなければ、実は対外の人が何らかの役に立っているというものだと思われ、無理に役に立とうと思うなということなのかなと思っていて、無理にやみくもに役に立とうとするな!!と言われているような気がしました。

 その他、ナオミと世話役のジョウのやり取りは今を生きる私にとってハッとするような気づきがあったり、教えられることが多い印象でした。

もちろん、謎解き部分も謎が謎を呼び、ミステリアスで面白いなと感じたファンタジーでとても楽しい時間を過ごすことができました。

 また素敵なファンタジーに出会ってしまったな。

④こんな方にオススメ

・ファンタジー×ミステリーと聞いてワクワクしてしまう方
・読みながら想像しやすい精霊の世界に入り込んでみたい

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