①あらすじ
2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込み、「事件」が発覚した。奥平美乃(おくだいら・みの)と名乗るその女性は、半年と少し前、「妹夫婦がおかしな女にお金をとられている」と交番に相談に来ていたが、「民事不介入」を理由に事件化を断られていた。
奥平美乃の保護を契機として、表に出た「死」「死」「死」…… 彼女を監禁していた「おかしな女」こと夜戸瑠璃子(やべ・るりこ)は、自らのまわりに疑似家族を作り出し、その中で「躾け」と称して監禁、暴行を主導。何十年も警察に尻尾を摑まれることなく、結果的に十三人もの変死に関わっていた。
出会ってはならない女と出会い、運命の糸に絡めとられて命を落としていく人々。 瑠璃子にとって「家族」とはなんだったのか。そして、「愛」とは。
「民事不介入」に潜む欠陥を日本中に突きつけた「尼崎連続変死事件」をモチーフとした、戦慄のクライムエンターテイメント!
※Amazonの商品紹介ページより引用しております。
②読んだきっかけ
書店で新刊として積まれていた本作品。
帯をみて、
あれ？これ？尼崎事件じゃね？
と思うような内容。
それを描いてると思われる小説。
当時、事件が発覚したときは連日テレビの情報番組で話題になっていた事件。
そういえば、もう１０年以上経って風化したなという印象もある本事件をモチーフにいまするのか？と感じたし、確かに興味あったなと思ったので、これは読んでみたいと思いました。
③感想・レビュー
尼崎事件をただの欲の深い女が人を殺して保険金詐欺を働いたというイメージだった私。
家族としてというのはわからなかったですが、人を支配することに長けていたえげつない女が世の中にはいたんだなと思った印象のある事件でした。
ただ、本作を読んでみると、この事件をモチーフにしたとありますが、私は土地以外はほぼ事実に基づいているのではないか（もちろん、登場人物たちの心情は創作だと思いますが）と思うほどに忠実だと思うし、その前提で読むと、ただの保険金詐欺事件ではなかったなと思いました。
タイトルの通り、「家族」がテーマで、「疑似家族」として生きていくことの心地よさも感じられる内容。なんで、この女にそこまでと思うかもしれないし、狂気といえるかもしれませんが、私は読んでいて
こんなのはおかしい！！ありえない！！
とは思いませんでした。
毎日のニュースを見ていると、家族に暴行されて命を落としたり暴力的な事件もあれば、そこまでいかなくともネグレクトなどなど、家族や家庭のあるいわゆる家というのが必ずしも安全ではないということを感じることが多いです。
私は幸いにして、自分の親やパートナーが時に口喧嘩なんかしたりして疎ましく感じることはあれど、毎日帰ればご飯は食べるし、団らんもしたり、家族のことは大切だなと感じることもあり、家族が憎いとかそういうのとは対極にあるところにいます。
そういう意味では、「安全地帯」から本作品を読んだわけで、「家族とは何か」、「本当の家族って？」というのは考えたことはない。
でも、本作品を読むと、「無償の愛をくれて自分を常に肯定してくれる家族」というのは確かに居心地がよいものだなと思います。
読んでいてどこまでがフィクションなのかわからないほどにのめりこむ尼崎事件をただの欲の深い女が人を殺して保険金詐欺を働いたというイメージだった私。
家族としてというのはわからなかったですが、人を支配することに長けていたえげつない女が世の中にはいたんだなと思った印象のある事件でした。
ただ、本作を読んでみると、この事件をモチーフにしたとありますが、私は土地以外はほぼ事実に基づいているのではないか（もちろん、登場人物たちの心情は創作だと思いますが）と思うほどに忠実だと思うし、その前提で読むと、ただの保険金詐欺事件ではなかったなと思いました。
タイトルの通り、「家族」がテーマで、「疑似家族」として生きていくことの心地よさも感じられる内容。なんで、この女にそこまでと思うかもしれないし、狂気といえるかもしれませんが、私は読んでいて
こんなのはおかしい！！ありえない！！
とは思いませんでした。
毎日のニュースを見ていると、家族に暴行されて命を落としたり暴力的な事件もあれば、そこまでいかなくともネグレクトなどなど、家族や家庭のあるいわゆる家というのが必ずしも安全ではないということを感じることが多いです。
私は幸いにして、自分の親やパートナーが時に口喧嘩なんかしたりして疎ましく感じることはあれど、毎日帰ればご飯は食べるし、団らんもしたり、家族のことは大切だなと感じることもあり、家族が憎いとかそういうのとは対極にあるところにいます。
そういう意味では、「安全地帯」から本作品を読んだわけで、「家族とは何か」、「本当の家族って？」というのは考えたことはない。
でも、本作品を読むと、「無償の愛をくれて自分を常に肯定してくれる家族」というのは確かに居心地がよいものだなと思います。
読んでいてどこまでがフィクションなのかわからないほどにのめりこむ作品。
読んでいる私にあった感情は怖いもの見たさだったのか、それとも、疑似家族の成れの果てをただただ見届けたかったのか、あるいは、私も狂気に溺れてみたかったのかはここで感想・レビューを書きながら今でも思いつかないですが、いろんな感情を読みながらもちつつ、ページをめくる手がなかなか止められなかったです。
事実は小説よりも奇なりとはいうものの、本作品はその奇なる尼崎事件をモチーフにしつつも、小説として昇華させた傑作だなと感じた作品です。
④こんな方にオススメ
・尼崎事件を覚えているあるいは知っている方
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⑤次の１冊にオススメ
①【理由】（宮部みゆき）
疑似家族というと、私の中で真っ先に浮かぶ作品はこちら。
マンションから飛び降り事件があり、飛び降り自殺があった部屋からは遺体が発見される。しかもそこに住んでいたのはあかの他人。
どうして彼らは見ず知らずの他人と家族のように過ごしていたのか？というお話で、結構前の作品ですが、今再読すると面白いかもしれないと個人的には思っている作品です。
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②【こうふくろう】（薬丸岳）
私の中では、今回レビューを書いた作品に一番近い疑似家族を描いているなと感じた作品。
読んでいて、疑似家族という単語で真っ先に思い浮かんだ作品です。
「本当の家族とは？」なんて考えたことがなかった私が、このテーマについて読みながら嫌でも意識させられるくらい（どこか嫌悪感すらある）の内容だったことを、『家族』を読みながら思い出しました。
↓『こうふくろう』のレビューはこちら
本物の家族とは何かを考えたことがないことは幸せなのかもしれない【こうふくろう】（薬丸岳）の感想・レビュー – ジジの読書部屋
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