世界の秘密とは意外と身近にあるのかもしれない|【神の蝶、舞う果て】(上橋菜穂子)の感想・レビュー

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 世界に恵みをもたらすラムラーの実。その実に受粉する地底の闇の底から舞い上がってくる黄金色の蝶(神の蝶)がいる。

 そして、神の蝶を食べる闇の蝶がいる。

 神の蝶を守るために闇の蝶を殺すべく編成されたカタゼリム。

 ただ生きるために、世界をよくするために戦っていた彼らが知ることになる世界の秘密を描いた作品です。

①あらすじ

 カタゼリム(降魔士)の少年・ジェードは、神と魔物、光と闇が共に宿っているとされる、神聖でありながらも恐ろしい聖域<闇の大井戸>で、魔物から聖なる蝶を守る役目を負って暮らしていた。

 ある日、ジェードの相棒である少女・ルクランが、聖なる蝶が舞い上がって来る予兆の鬼火に触れる事件が起きる。

 他のカタゼリムたちと違い、なぜか、予兆の鬼火に激しく反応してしまうルクランは、聖域を守る者のなかで波紋を呼んでいた。

 自分がなぜ、そんな反応をするのかを知りたいと願うルクランと、ルクランを守りたいと思うジェード。

 それぞれの思いをよそに、ふたりは壮大で複雑な運命の糸に絡め取られていく。

※Amazonの商品ページより引用しております。

②読んだきっかけ

実は上橋先生は初読み作家さんな私。

 ただ、Xで幻のファンタジー的な投稿を見かけて、面白そうと思い、単純な私は気になって、書店で発売日に購入いたしました。

 装丁も幻想的で良いなと思いつつ、前知識なしで読むというのも面白そうということでワクワクしながら購入いたしました。

③感想・レビュー

 読んでいるときの感じですが、神の蝶を守るために存在するカタゼリム達の物語ではありますが、神の蝶、闇の大井戸など当たり前のなかにある不思議や謎もありつつも、大冒険が始まるファンタジーというようなワクワク感は正直は感じませんでした。

 読み進めれば進めるほど、狭いところで起きている話なのに、世界の謎が明らかにされていくという意味ではかなり壮大な物語であるということは読後も、読後から少し時間が経過した今でも感じる作品ではありますが。

 カタゼリムの少年、少女たちの物語だとは思いますが、神の蝶を守るという、作中の中でも重要かつ特別な職業の人々が描かれている割には、彼ら彼女たちの日常感や生い立ちなど彼ら自身のことが描かれているように思います。

 そこが、ファンタジーだと期待して読むと肩透かしを食らいそうな感じがするなと思いました。

 その日常感はある事件が起きる半分以上に及ぶので、そこを面白いと思うのか、早く何か起きないかな?と思いながら読むのとで、本作品の半分以上を楽しめるかどうかのポイントになりそうな気がします。

 とはいえ、事件が起きてからは、めちゃくちゃ壮大な本作品の世界の謎に迫っていくので、その世界の理というか世界の秘密を知った時は、凄くスケールの大きな話を読んだなぁと思うような内容であったなと思ってます。

 読んでいて、ただのファンタジーじゃなくて、現実でもこういうことってあるよなぁと思うお話でもあり、気づきと共感を得られる内容でもあったなと思いました。

 たとえば、ガリレオの地動説。地球を中心に太陽や月が回っているというのが真理だと思っていた時代もあったけども真実は違っていた。今だからこそ、バカな!と思うわけですが、それは我々が真実を知った後の話。

 世界の理ではないですが、私たちの暮らしの中にも昔は無害でよいものだと信じられていたものが今は有害だとされているものだってありますよね?例えばアスベストなんかは私はその例だと思っています。

 話は逸れましたが、普段当たり前だと思っていたことがある日突然当たり前ではなくなることが私たちの世界では当たり前にある。その当たり前が当たり前でなくなる境界線の世界を描いたファンタジーとして面白い作品でした。

④こんな方にオススメ

・真実に気が付くことが好きな方
・日常系のファンタジーが好きな方

特に、何気ない日常と当たり前だったことが覆り真実に気が付くことに知的好奇心をくすぐられる方にオススメです。

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