①あらすじ
ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。
大学院で遺伝学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。
不可解な鑑定結果から担当教授の石見崎に相談しようとするも、石見崎は何者かに殺害される。
古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室からは古人骨が盗まれた。
悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出し、予測もつかない大きな企みに巻き込まれていく。
※Amazon商品ページから抜粋しております。
②読んだきっかけ
『謎の香りはパン屋から』の巻末で選評を読んでいて、面白そうだなぁとは思っていたものの、時間と共にタイトルを忘れていたという…
結果、店頭で見かけても、本屋大賞の文庫化?かなと思ってスルーしてしまい、たまたまラジオで聞いて、
「あれ?これ?このミス2025年の次点の作品じゃね?」
と思い出し、発売されてたんだ!!となって、慌てて書店に駆け込んだのが2025年4月27日。
思い出したときに購入できてほっとしました。
③感想・レビュー
あらすじとか、本作品を読みだしたときには
『禁忌の子』が始まった?
と思いましたが、読んでいくうちに
あっ!?これは、現代版の『フランケンシュタイン』!!
となります。
おそらく、構想のベースは『フランケンシュタイン』からきていると思われ、『フランケンシュタイン』を読んでいると、なるほどなぁと感じることができる作品だなと思います。
ただ、ミステリーとして読んだ場合の個人的な感想なのですが、謎解き部分は粗いというか単純だなと正直思いました。
騙されるとか、騙されないとか以前に回答を提示されても、驚きとかも特に感じることがないだろうなと。
このミス大賞の選考員が欠点が少なかった『謎の香りはパン屋から』の方に軍配が上がったというのも頷けるような気がするくらいに、謎部分は正直弱いなと感じました。
では、面白くなかったか?というと、正直、めちゃくちゃ面白かったです。
謎解き以外にもホラーというかスリラーとしての要素もあるし、サイエンスフィクションだし、カルトもあったり、たくさんの要素があって、味付け間違えたら、ただ詰め込んだだけの話になりそうだなと思うのですが、どの要素もうまくバランスがとれているように思え、読後も面白かったなと感じる作品でした。
そして、読みやすいというのもあるのですが、作品の世界にどんどん引き込まれていく感覚があって、次から次へと読みたくなるという感じで、読み始めたらあっという間だったなと思います。
謎解き部分が単純すぎたという感想はあるものの、個人的には大賞作品である『謎の香りはパン屋から』よりも好きだと思うくらいに面白い読書体験をさせていただいた作品です。
④こんな方にオススメ
・現代版『フランケンシュタイン』と聞いて興味が湧いた方
・謎解きにそこまでこだわらず「ただ面白い」を読みたい方
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