①あらすじ
蛍が舞う夏祭りの夜──山間にある小さな町に暮らす中学生の坂邑幸恵と桐生隆之は、生きるために互いの秘密を守り合うことを決めた。
それから十五年後、大人になった幸恵と隆之の予期せぬ再会が、家族や友人、町の人々の人生に大きな影響を与えていく。
明かせぬ秘密を抱え、思い描いた道のりではなかった。それでも、この小さな光が照らす世界を大切に生きたい。
※Amazonの商品ページより引用しております。
②読んだきっかけ
町田そのこ先生の作品は新刊が出たら読むよというスタンスでいこうと決めて約1年。
去年発売した『ドヴォルザークに染まるころ』を5月に読んだということもあり、毎月なんらか町田そのこ作品を読んでいる気がする2025年8月現在。
しかし、新刊が出るペースが早い!!と思いつつ、実は新作は今年は2冊目だということを知り、単に私のペースが落ちていただけだと思いながら、最新刊に追いつこうということで、読みました。
③感想・レビュー
真夏だからなのか?読み始めの1章目、2章目はホラーなのか?と思うような怖さもありつつ、1章からぶっ飛ばしていくなぁという感じを受けました。
ほんまに、マジで怖いわとなるような感じでしたが、そのぶっ飛んだ感じやぶっ飛ばした感じが、中盤以降しっかりと生きているという印象です。
正直、読んでいて、「普通に親から無条件に愛されてみたかった」というような内容に受け取って、今年の町田そのこ先生の新作の『月とアマリリス』との違いがあるのか?というようなことは感じました。
ただ、帯を読んでから読んでいるというのもあるのかもしれませんが、暗闇の中をさまよう登場人物たちが蛍ようなほんのわずかな光が輝いてみえたとき、その蛍こそが希望なのだという作品なのかなと思っていて、確かに各章それぞれに暗いながらも希望の光が見えてくる。その光をもたらすのは、身内でもなく、たまたま偶然に出会ったあかの他人がもたらす。
暗い山道でたまたま水辺にいったら蛍をみつけたよというくらいの感じです。
そして、作者らしい希望を見せるだけじゃなくて、希望を掴むための試練を与えていくという感じで、登場人物たちに楽はさせないなぁと思いながら読みました。
作中に出てくる登場人物たちの親はいろんな親なのですが、読んでいて、
こんな親にはなりたくないな
とか
この親はあかんやろ?
と思うような親が出てきます。
そして読んでいる私は思うわけです。登場する親たちをみて、こんな風に思える私は、うちの父親、母親、時にはムカつくことはいっぱいあったなと思いながらも、しっかり愛されて育てられたんだなと思う事実に。
むかつことやいろいろあったような気がするけども、大学を出て社会を出た、いや出させてくれた私にはもしかすると光の中を堂々と歩ませてくれたのかもしれない。
私にはもしかすると蛍たちの祈りは縁のなかった世界なのかもしれないなと読後は思いつつ、どこか共感できるような作品でした。
④こんな方にオススメ
・親ガチャに失敗したと感じている方
・希望はどこかにあるのかもしれないと感じている方
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