派手さはないけども武士らしい格好良さを何度でも読み返したくなる作品【蜩の記】(葉室麟)の感想・レビュー

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①あらすじ

 命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか?

 豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。

 秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。

 編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉さに触れるうち、無実を信じるようになり……。

※Amazonの商品ページより抜粋しております。

②読んだきっかけ

 私にしては、主人公の庄三郎が秋谷と出会って変わっていくという成長する話や、秋谷さんみたいな格好良い考え方が好きで、仕事に迷ったり、落ち込んだりしたときに何度も読み返していた作品。

 こういう風に思える作品って大事にしておかないといけないよなということで、たまたまAmazonを覗いたらなんと単行本の新品がまだ取り寄せられる(※この記事を書いた2025年8月21日時点では在庫切れになってます)ということで取り寄せたら、読みたくなりました。

 読み返すのは数年ぶりぐらいかな?と思っていたら、読書メーターで読書記録を書き始めて以来一度も読んでいなかった…

 あれ?もしかして、5年以上前に読んだと?そんな前だったかな?と思いつつ、電子で読んだものを今になって単行本で読むということをやってみました。

③感想・レビュー

 さすがに結構前に読んで以来ということもあり、いろいろと忘れていましたが、何度も読んだこともあるというだけあって、鮮明に覚えているところもありでなかなか懐かしい読書体験。

 今になって読んでみて、意外とミステリー要素もある作品なんだなと新たに思った本作品。

 ただ、格好良いなと思う武士像が描かれていただけではないのだなと思いました。

 主人公である庄三郎がなんとかして秋谷の切腹を中止させたいという思いで過ごしていくわけなのですが、それはそれで、それでも不穏でも平和な日常が過ぎていくという内容で、日常部分も秋谷の余命があるにしても平和で楽しそうな日々も描かれています。

 私の本作品の記憶の中にも日常的な平和なシーンが多く残っていて、そういう平和な部分も何度も読み返したくなるそんな作品だったなと改めて思いました。

 そして、本作品は腕っぷしが強い武士同士の決闘とかそういうアクション的な格好良さが描かれているわけではなく、武士としての振舞や考え方が主に描かれているので、地味といえばそれまでの作品です。

 ただ、頑固で今では古い考え方だと言われそうな感じの昔の人感というのは今読んでも全く思うこともなく、どちらかというと、柔軟で、こういう人を手本にしてみたいと思えるような武士像が描かれているなと私は思っています。

 秋谷みたいな考えを持ちながら、仕事をしてみたいとか、人とかかわってみたいとか思います。

 特に私は、顧客に対して真摯に対応できていないなぁ、もっと良い仕事の取り組み方はないものかと思う時、ふと本作品のことを思い出してしまいます。

 それだけ身近だからこそ、何年も読んでいなかったとは思っていなかったのだろうなと思うほどに、好きな人間像の秋谷、そして私も主人公の庄三郎のように師とも呼べそうな良い手本を得て、成長をまだまだしたいのだなと改めて思わせていただいた作品です。

 何より、本作品の登場人物たちのことが好きになれるという意味で、日本人に生まれて良かったなと思える作品です。

 また、映像化もされております。映像も、本作品の世界を損なっておらず夏の綺麗な風景も鑑賞することができるのでお勧めです。

④こんな方にオススメ

・武士に憧れをもってみたい方
・仕事にやる気が出てこないなと悩んでいる方

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