読後の後味をなんと表現してよいのやら…【廃集落のY家】(遠坂八重)の感想・レビュー

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①あらすじ

 令徳大学文学部一年生の小佐野菜乃は、新歓合宿で同学年の蓬萊倫也、泉秋久と出会う。

 三人ともオカルト好きという共通点で意気投合し、『怪異研究会』を立ち上げることになった。

 しかし、その後蓬莱が音信不通になり行方がわからなくなってしまう。

 泉がXで見つけた動画には、夜の草叢に首を微妙に傾けてまっすぐ立つ、蓬莱によく似た男性が映っていた。

 その動画が撮影されたと思われる場所へ蓬莱を探しに行った二人は、禍々しい黒い靄をまとった無機物のような彼の姿を目撃する。

 一方、菜乃のもとに、十八年前に起きた凄惨な事件に関する差出人不明のメールが届く。

 そして、泉と菜乃の身にも異変が起こり始める……。 

②読んだきっかけ

 『ドールハウスの惨劇』など、新刊が出るたびに読んできた遠坂八重先生の新作が並んでいて、これは読まねばなるまいという使命感もありますが、タイトルを読んでホラー?オカルト?でミステリー?ということで面白そうということで、ワクワクしながらレジに持っていきました。

③感想・レビュー

 最初に読みだした時は、SNSやらどこぞの誰かのメールやら、動画の描写があって『近畿地方のある場所について』を読んでいるのではないかと思うくらいのくだりで、この話どうなるの?という感じでワクワク感が止まらず、どんどん先を読みたくなる感じで、終わってみればあっという間でした。

 相変わらず、読ませるのが上手いなと思います。

 オカルト×ミステリーということもあり、先日読んだ某作品とカテゴリーが同じようなところもあるので、私の中ではすっきりしないような感じの終わり方だと嫌だなと若干心配はしてましたが、そんなことは杞憂に終わるくらいに、怖さの余韻も残るし、ミステリーだと分かっていてもどんどん怖くなる、でも読み進めたいというそんな感じの作品です。

 若干、ヒロインの小佐野が無防備過ぎる感じがあり(詳細は控えますが、いくらオカルト・怪異好きでも、その行動は危機意識なさすぎじゃないかと思うことがちらほらとあります)、「こいつ怖いもの知らずなのか、いやもしかして…」というくらいに自ら進んで怪異に首を突っ込んでいく感じはひっかかるものの、個人的には語り手の小佐野があまり好きになれなかったです。

 そこが好みの別れどころかもしれません。

 ただ、どんどん深みにはまっていく恐怖。本当にただの怪異・オカルトなのか、裏があるのか、でも裏があっても怖いようなという雰囲気を怖いもの見たさに進んでいく本作品。

 真夏の納涼にはぴったりだったなと思います。

 不満点をあげるとすれば、今感想を書いている中でもそうだし、読後直後もそうなのですが、じゃあ、この話ってどんな話なのか?という点や、本作品からどんなことを思ったのか?というのがなかなか伝えることが難しい…本音を言えば

 なんとなく後味が悪いなと思いつつも、感情としては全く何も残らなかった…

 エンターテイメントとしてはひたすら先に読みたくなるほどだったのに、どう絞り出しても、小学生並の面白かったーとか怖かったー、最後マジか!?という簡単な感想しか出てこない。

 若干グロめ、気持ち悪めの描写はあったとは思いますが…

 あれ?これはもしかして私も、何かに取りつかれたのか?

 そんなことを思う読後でした。

④こんな方にオススメ

・ライトめなホラーを読みたい方
・怖いもの知らずのヒロインを優しい目で見ることができる方
・読後?あれ?私も何かに取りつかれたかも?を体験したい方

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