①あらすじ
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながら、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
※Amazonの商品ページより引用しております。
②読んだきっかけ
前作にあたる『スピノザの診察室』が医療とは何かを考えさせられる内容で、手術パートも読んでいて面白く、マチ先生の虜にさせられた私。
実は、本作品の続編が発売されることは全く知らず、たまたま書店に寄ったら、発売日の翌日で店頭に並んでいて、これは読まねばなるまいと思い、即購入。
どんな続編なんだ?とワクワクしながら読みました。
③感想・レビュー
読み始めは、前作を思い出せず、あれ?どんな話だったかな?という感じも若干ありつつ、直ぐに物語に入っていけたなと思います。
そういう意味では、『スピノザの診察室』は読まずに読むということはできると思います。
とはいえ、南先生や秋鹿先生、中将先生などなど、読みながら思い出していって楽しめたなと感じる部分があり、私は『スピノザの診察室』を読んでから読む方が楽しめるなと思いました。
内容としては、前作のテーマを踏襲しつつ、医療現場の人材不足など現在の問題点にも触れながら物語が進んでいくという感じ。
読んでいて、物凄く考えさせられたなと思いながらも、『スピノザの診察室』と内容やストーリーに違いが出ているか?というと、そこは正直感じなかったです。ストーリーの流れや内容はスピノザだけじゃなくて、エピクロスの快楽主義がちょい足しされたくらい?
そう思いつつも、前作よりも人間模様がより深くなっていくのを感じだし、マチ先生の神業的な内視鏡手術の場面も読んでいて何の知識もないのにすげぇーと思ったり、作品的には素人目にはパワーアップしてかえって来たなという印象でした。
マチ先生の患者とその家族とのやり取りに涙したり、相変わらず京都のスイーツを食べつくしそうな勢いに思わず京都のスイーツに手を出しそうになってしまいそうな本作品。
確かに、医療で人の命を救うこともあるけども、いつか必ず人は死ぬ。
しかも、大体が病院でなんらか関わって、最後は病院のベッドなのか、自宅かどこかのベッドなのか。
死ぬ間際にはよほどのことがない限りほぼ確実に医師にお世話になると思われる私たち。
そんな私が本作を読んで思うのは、
マチ先生みたいな医者に最後は委ねたい
ということ。
委ねたいというよりも、こんな先生と出会ってみたいというのが正しいかもしれませんが(笑)
きっと、マチ先生は今日も患者と向き合っているだろうなと思いながら、おそらく続きがあるであろう本作品の続刊を楽しみに待ちたいなと思った読後でした。
④こんな方にオススメ
・『スピノザの診察室』を読まれた方(マストです)
・こんな医者に巡り合いたい!と感じたい方
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⑤次の1冊にオススメ
①【受け手のいない祈り】(朝比奈秋)
医療崩壊の起きた地域で患者の命を見捨てない救急病院の医師達を描いた、架空だけれどもリアリティを凄く感じる作品。
どこか不思議でどこか医療独特のグロさもありますが、医療現場の人材不足の問題ってこうことかなと思える作品です。
↓私のレビューはこちら
マジックリアリズムで描かれる医療崩壊寸前の病院【受け手のいない祈り】(朝比奈秋)の感想・レビュー – ジジの読書部屋
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②【白魔の檻】(山口未桜)
北海道の過疎地域の病院へ派遣として送られた医師が派遣先の病院で事件に巻き込まれるミステリー。
こちらも、医師不足や医療現場の問題をクローズアップしている作品で、『エピクロスの処方箋』とは方向性は違うなと思いながらも、『エピクロスの処方箋』を読みながら、そういえばと思いついた作品です。
↓私のレビューはこちら
タイトルの意味を考えさせられる、地方の過疎地の医療現場を舞台にしたミステリー【白魔の檻】(山口未桜)の感想・レビュー – ジジの読書部屋
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