①あらすじ
小学生のとき、担任の先生と町の外からやって来た男が駆け落ちしたのを忘れられない主婦。東京でバツイチ子持ちの恋人との関係に寂しさを覚える看護師。認知症の義母に夫とのセックスレスの悩みを打ち明ける管理栄養士。父と離婚した母が迎えに来て、まもなく転校することになる小六の女の子。発達障害のある娘を一人で育てるシングルマザー。
小さな町で、それぞれの人生を自分らしく懸命に生きる女性たちを描いた感動作。
※Amazonの商品紹介ページより抜粋しております。
②読んだきっかけ
『52ヘルツのクジラたち』、『宙ごはん』などなど、新作が出るたびにお世話になっている町田そのこ先生の去年の終わりごろに出た作品。
タイトル見た時は「強そう」(ドヴォルザークという単語に引っ張られ過ぎ)と思ったのですが、読むタイミングがなかなか見つからず、ようやく手に取るに気になったという私…
読書なので気分が向いたときに読むのが一番良いという言い訳をしつつ、気が向いて手に取った時にタイトルから
「ドヴォルザークに染まる」って、学校の放課後の夕焼けが想像できて、綺麗なタイトルだなぁと思い、積んでいたところから読み始めた次第です(タイトル読んだ時に強そうだと思った感想どこにいったよ?)。
③感想・レビュー
読み始めのいきなりから、第一章の語り手の女性が小学校の時に担任の女教師が放浪の旅をしてたまたま小学校に滞在した有名な画家と教室でセックスをするのを見たというエピソードから始まるという、なかなかヘビーというか濃いなと思う話から始まる本作品。
これはなかなか重たい話だなと思いつつ、読み進めると第一章がおうっ…となる内容で、その内容を引き継ぎつつ、同時並行で展開される第2章以降…
ネタバレしないように書いているので表現は難しいですが、まぁまぁハラハラドキドキします。ヒヤヒヤというのが正しいかもしれませんが…
そういうハラハラ、ヒヤヒヤしつつも、読んでいて結構ボディーブローみたいにきいてくるお話だなと感じました。
閉校が決まった田舎の小学校で行われる大イベント、秋祭りの日を描いた本作品。
各章ごとに語り手がかわるのですが、私が思うに共通点は、「檻にとらわれた」女性ではないかと思っています。
「土地や家柄にとらわれている人」、「正しさの檻にとらわれている人」、「過去にとらわれている人」などなど、自分で作ってしまった檻から抜けられない女性が、檻から出るということを望んでいたり、もがいたりしている。
そして、その檻からでることも諦めたりしている。
しかし、秋祭りの日は、流石にお祭りの日ということもあって、特別な日。
特別な日には、檻から出られるかもしれないチャンスすら与えてくれる。そこはファンタジックかもしれませんが、檻から出られるかもしれないという気づきを各登場人物に与えてくれるというのが、まず、読みどころだなと思います。
そして、町田先生らしく、ただハッピーエンドでは終わらない。各登場人物を檻から解放するのではなくて、檻から抜け出せるかもしれないというヒントや気づきを与えて、あとはそれを生かすも殺すも登場人物次第というところが好きです。
檻から出ることはできたのか、答えはないけども、希望の残る余韻が残ってよかったなと思いました。
また、各章で性格の違う登場人物たちで、話もバラバラなのですが、ドヴォルザークに小学校が染まる頃には夕日と溶け合って1つとなっている綺麗なシーンが個人的には浮かんだ本作品。
私たちは今を生きているけども、小学校の時も含め、過去に嬉しいこともあれば、嫌なこと、辛いことなど、たくさんのことがありながら生きている。
当たり前のことなんですが、未来に向かって生きているというよりは、過去にあったことを思い出して、今の自分と向き合えるようなそんな作品だなと思いました。
本作品を読み終えて、あなたの頭に浮かぶ世界が、どうか希望で満ち溢れた夕日に照らされた校舎であることを願いたいなと思います。
④こんな人におすすめ
・希望を見出したい方
・タイトルを読んで、夕日がきれいな教室を思い浮かべた方
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