【あの夏のクライフ同盟】(増山実) 感想・レビュー

①あらすじ

しっかり者だがどこか流されがちなぺぺ、気弱なオカルト好きのツヨシ、運動神経抜群で人気者のサトル、ムードメーカーのエロ番長・ゴロー。北九州に住む中学生4人組は、いつでも一緒のサッカー仲間だ。そんな彼らのもとに歓喜と絶望のニュースがやって来た。大ファンで、雑誌で見かけてはサッカーの「神」と崇めてきたヨハン・クライフ。彼がオランダ代表で出場するW杯が日本初の生中継されるが、九州は放送地域外だという。馬鹿馬鹿しくも時に切ない日々を過ごしながら、4人は“クライフ同盟”の名の下に秘密の計画を進めていく。

※Amazon商品ページより抜粋

②読んだきっかけ

 書店でタイトルと装丁をみて。

 帯にサッカーの神に会うという夢を乗せてというキャッチ、中学生の青春の物語と書いていて

 青春ものが読みたくなって購入しました。

③感想・レビュー

 1970年代の北九州の海沿いに住む中学2年生から中学3年生までの夏を描いた本作品。

 1980年代に生まれて1990年代に中学生だった私でも想像できるくらいに、懐かしいと感じました。

 1970年代。テレビゲームもなければ、情報を得る方法はテレビ、ラジオ、新聞、雑誌がほとんどの時代。今みたいにネットがあって、たくさん動画やリアルタイムに更新される記事なんてありません。

 そんな時代の情報の得方、特に通といわれる情報を得る方法は主に雑誌だったのです。

 実は、1990年代の中学生もこの路線は変わりません。大型店舗やコンビニで立ち読みして情報を得ていたというわけで、週刊誌、月刊誌でゲームの攻略法や新作発売や新作の情報を得ていたものです。

 そんな雑誌が情報源の1970年代、今では信じられないですが、ワールドカップが放映されないという時代の日本で、雑誌で知った憧れの選手が活躍するのを見るためにどうすればよいのかと中学生ができる範囲であれこれ考えて実行する。

 まぁ、今の時代なかなか考えられないことですよね。

 でも、当時の推し活は今もそうですが、手元にあるカードをなんとか切って、いろんな知恵を働かせて工夫してたようなぁと1990年代中学生が共感しておりました。

 そして、今でもそんなに変わらないですが、基本中学2年生男子、4人集まればアホです(笑)

 しかも性にも興味津々ですし、未知なるエロすに想像(妄想)とわずかなどこから手に入れてきたのか怪しい知識で、いろんなアホな話をするわけです。

 そういうアホアホ会話好きだったなぁ。今思えば、全然違うけれども、妄想だけで1日中馬鹿笑いしながら盛り上がった気がするなぁと思い出しながら、そういえば、あいつどうしてるんだろうなぁと思いながら読んでました。

 ただ、中学時代を懐かしむだけではありません。

 自分たちが生まれた街の成り立ちや、辛いこと、思うようにうまくいかないことなどなどたくさんあって、1970年代の彼らがそこで生きていたとよりリアルに感じる作品でもありました。

 私も希望の物語というのは逃亡の物語でもあるよなと読んでいて思うほどに、楽しいだけじゃない厳しさもまとった作品だなと感じました。

 とはいえ、冒険するようなワクワクするところもあるし、桜田淳子や天地真理、デヴィ夫人まで雑誌を通じて出てくるという作品で当時を思い描ける作品だなと感じました。

 特に、1970年代のワールドカップの結果を知らずに読むと、登場人物と同じような気持ちになって読めます。

 これが私の中では本当に楽しくて、今ではできない当時の醍醐味だと感じました。

④こんな方にオススメ

・1970年代の中学生の気分を味わいたい方
・サッカーは興味あるけど1970年代のワールドカップの結果を知らない方
・スマホ・携帯が普及していない頃に中学生だった方

あの夏のクライフ同盟 [ 増山 実 ]価格:1980円
(2025/1/23 19:19時点)
感想(1件)
あの夏のクライフ同盟【電子書籍】[ 増山実 ]価格:1881円
(2025/1/23 19:19時点)
感想(0件)


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です