【恋とか愛とかやさしさなら】(一穂ミチ)感想・レビュー

①あらすじ

プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。

カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が”出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。

信じるとは、許すとは、愛するとは。

男と女の欲望のブラックボックスに迫る、
著者新境地となる恋愛小説。

※Amazonの商品ページより抜粋しております

②読んだきっかけ

 書店の店頭に並んでいて、その帯に

 「プロポーズされた翌日、恋人が盗撮で捕まった。」

 と書かれていて、物凄く私の興味を惹きました。

 また、一穂ミチ先生の作品を読んでみたいとおもってはいたもののなかなか手が伸びず、これは良いきっかけだなと思って購入いたしました。

③感想・レビュー

 プロポーズされた女性視点⇒プロポーズした男性視点の2部構成で物語が展開される本作品。

 プロポーズをした側の男性が、えっ!?本当にそんなことで盗撮するのか?と思うかもしれません。

 ちなみに、私も読んでいるときは、そんなこと普通しないだろ?これだけ恵まれている男性がとか、分別ありそうなのにとかいろいろと思いました。

 ところが、よくよく考えると魔が差すというのはこういことだろうと確かに思います。

 犯罪の常習者もはじめから常習者じゃなくてある日突然犯罪者になる。窃盗や殺人もそうだし、こういう盗撮魔みたいな人もある日突然犯行に及ぶのであってその初回がたまたま捕まらなかっただけで、実はある日突然一線を越えてしまうんじゃないかと思うくらいに確かにリアルです。

 そして、そこにリアルを見出してしまうとプロポーズされた側の女性の気持ち、プロポーズした側の男性の気持ちというのは全てリアルにな感じに思えてきました。

 本作品からは感じることは、女性は男性からの目でなんらかの性的な対象として見られているということ。

 私も、別に盗撮とかしてないにしても、綺麗な人を街中で見かけたら見てしまうし、スカートの丈が短い人の脚とか見たくなくても目が行く時があります。ただ、スマホで撮影しないだけで、一歩間違えれば危うい境界線みたいなところはあるなと思います。

 そして、その男性目線でたまたまスマホで撮影してしまった。そういうこともあるだろうとは思いますが、それが軽いとか少しのでき心で何回も性犯罪を繰り返す人(痴漢とか盗撮を繰り返していて、取り返しのつかないと分かっていても辞められない人)と同じ扱いを受けるというのも可哀そうと同情することもあれば、それはやった奴が悪いどんな事情があるにせよ被害者は女性なんだから、やらないことが普通だという感情も湧いてくる作品です。

 正義感と同情心が同時に湧いてくるという不思議な気分になり、読み終えてどっちつかずな気分になりましたが、いろんな感情が湧いてくる作品だなと思いました。

 テーマは重たいですが、いろいろと考えながらテーマに対していろんな気づきや感情をくれる作品だと思います。

④こんな人にオススメ

・性被害、性加害について気づきを得たり考えてみたい方

・本屋大賞ノミネート作品だから読んでみたい方

・「プロポーズされた翌日、恋人が盗撮で捕まった」というフレーズに妙にそそられる方

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