①あらすじ
僕が住む町の外れに、変わり者の太ったおじさんが住んでいる。
学校では不審者扱いされていて、僕もふざけて「ゴブリン」なんてあだ名をつけてしまった。
悪いことをしたと思ってる。
だってゴブリンだけなんだ。僕の頭を撫でてくれるのは。
お母さんは家を出て行っちゃったし、お父さんは毎日僕を殴るから――。
少年と中年のくだらない日常が、心の傷の在処を教えてくれる。
自らの過去を投影して描いた、悲しくも笑顔になれる、
自分だけの愛を探す物語。
※Amazonの商品ページより抜粋しております。
②読んだきっかけ
『クラスの女子全員好きでした』のドラマが面白くて、原作に手を出した私。
爪切男先生が初めて小説を書いたというのはブクログで知っていたのですが、なかなか書店に寄る機会がなく、現物をみないまま過ごしておりました。
店頭でたまたま見つけて、ようやく念願の「愛がぼろぼろを手に入れたどー」という感じで、購入いたしました。
③感想・レビュー
読み始めて、小学6年生である千川広海の語り口調が物凄く『クラスの女子全員好きでした』な感じだったので、あれ?小説?と思いましたが、作者のXで父親に殴られて過ごした自分と今の自分が出会ったような話ということで、なるほどと納得できました。
レビューでは愛だとか家族だとかいろいろ書かれているとは思うのですが、しょせんはアニマルなんですよねとなぜかミスチルの「ニシヘヒガシヘ」みたいなことを書いてみつつ、確かに本作品には愛があるなと感じるところが多い。
ただ、主人公は毎日父親に殴られているといういわゆるDVを受けている小学生だし、「ゴブリン」と名付けられたおじさんは、近所からは小学校でも警戒されるほどの不審者扱いと、内容的にはなかなかセンシティブな内容なうえ、とても陽気に語れるような内容ではないと思うのですが…
主人公広海のもともとの地なのか、ゴブリンのおじさんが変態すぎるのか、この二人の出会いがとんでもない化学反応を起こし、いちいち面白い。
笑っちゃダメなんだろうけども、面白いってズルくね?と思うくらいに笑いをこらえながら読みました。電車の中で読むのは注意が必要です。
不謹慎なのに笑いが起きるというのも不思議な話なのですが、本作品からは確かに主人公広海の親に対する愛やゴブリンへの愛がしっかりと詰まっている。毎日殴られても親は親だし、どれだけ変態でもゴブリンのおじさんはゴブリンのおじさんで格好良い。
そして、昔の自分が今の自分に会ったら自分を好きになるだろうし、今の自分が昔の自分に会うと助けてあげたくなるって思える生き方って、本当に格好良いなと思いながら読みました。
読後にそういえば、作中にグリーングリーンを口ずさむ広海が出てきたなと思い出すと、本作品もよくよく思い返してみればグリーングリーンみたいなお話だったなと思いました。
読後は元気をもらえたようなそんな気がする作品です。
④こんな方にオススメ
・ゴブリンのおじさんの変態さを眺めたい方
・センシティブな話なのに面白いを体験したい方
・自然とグリーングリーンを口ずさんでしまう方
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