①あらすじ
誰かを殺すまで、ループは終わらない。
足を踏み入れた人間が続々と消えていくという「人食い遊園地」。
そんな都市伝説が囁かれる老舗の遊園地『サニーパーク』に、竜崎カシオは高校の友人たちと訪れた。アトラクションを満喫し何事もなく一日を終えるはずだったカシオは、友人の一人である小練菜々に人気のない場所に連れられ、刃物で刺されてしまう。死に至る直前、彼女はカシオにあることを懇願する。
「お願い……あせびちゃんを、助けてあげて」
カシオが目を覚ますと、サニーパークに入園した朝に、時間が巻き戻っていた。
激しく動揺するカシオは事態を呑み込めないまま、友人たちと“2回目”のサニーパークを巡る。自分を刺した小練菜々を警戒するカシオだったが、最後まで彼女に怪しい素振りはないまま、閉園時間を迎えた。退園するためカシオがゲートを抜けた直後、またしてもサニーパークに入園した朝に時間が巻き戻った。
混乱を極めるカシオの前に、一人の女子高生が現れる。
彼女は小寺あせびと名乗り、カシオがサニーパークから出られず同じ一日をループしているのだと告げる。そして、このループ現象から抜け出す唯一の方法は、誰かを殺すことだと……。
※Amazonの商品紹介ページより抜粋しております。
②読んだきっかけ
作者の四季シリーズ、通称夏トンを読んで秋を読み、春は未読なくせに、シリーズ最終章?ということで、シリーズを見届けようと思い、購入。
実は、正直なことを書くと、夏はハマったものの、秋は私には合わずで、読むかどうかは正直迷いつつ、読みたいと思った以上、自分の気持ちを優先して読んでみました。
③感想・レビュー
「時間のループ」が今回の舞台なのですが、時間のループというと、私世代でライトノベルで時間のループというと涼宮ハルヒシリーズの「エンドレスエイト」が出てくるわけですが、本作品の時間のループは「ループしても記憶が引き継げる」ので、エンドレスエイトの長門視点みたいなお話です。
ループを抜け出す方法は誰かを殺害すること。
しかし、主人公のカシオは不殺でループから抜け出すことを探るため、どんな法則があるのかということを考えながら読むとなかなかワクワクする作品だなと思いました。
読みながら思うのは、自分が遊園地で作中のようなループにはまった時はどんな感情になるのかということ。
殺された記憶を引き継ぐので、立ち直りにどれだけ時間を要するのかわからない。
ただ、しばらくしたら、遊園地だしとりあえず楽しむかとなるか、なんとかループから抜け出すためにはどうすればよいかと考えていろいろと試しそうだなと思います。
同じ一日を繰り返すこと、しかもそれが遊園地の中だとしばらくは楽しそうだなぁと思うと同時に、ずっと同じ日を繰り返すというのは何か嫌だなと思うのも不思議だなとは思います。
というのも、普段、嫌なことがあったりするともう過去に戻りたい、嫌な思いを明日にはしたくない、なんともない1日、むしろなんの未来の不安のない1日を過ごし続けるって最高じゃね?と思う反面、もう明日は来ないのだということが分かっているというのは、嫌なんだなと思う。こう思うと、私って、矛盾を抱えて生きているんだなと思います。年は取りたくないけども不死も嫌という古典を読んでいるみたいな気分でした。
そんな自分がループにはまった時はどうするだろうか、どう思うだろうかと自分自身をかさねてしまう作品だなと思います。
少し気になっているのは、記憶を引き継いでループしている主人公とヒロインたち以外の人たちは彼らがたどり着けなかった明日を生きているはずなのですが、その明日には彼らと彼女たちはどういう風になっているのか、実は記憶を引き継いでいないだけで皆ループしているのではないかということ。
この辺どうなんだろうなぁと時間ループものについて思うようなことも思いつつ、時間のループを考えながら読んで楽しめた作品でございました。
④こんな方にオススメ
・細かいことは気にしない時間ループものが好きな方
・ボーイミーツガールな時間ループものと聞いて興味が湧く方
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