【成瀬は天下を取りにいく】感想・レビュー

 まずは、2024年本屋大賞受賞、おめでとうございます。

 滋賀県大津市の膳所に在中のヒロイン成瀬あかりの中学2年生から高校3年生の夏までを描いた本作品。

 読書界隈では発売日の2023年3月17日の1か月後あたりから既に話題に上がっていた本作品。

 作者のデビュー作なのに初版1万5,000部を刷るという強気のスタイルから1年間話題になり続けておりました。

 私は、実はツイッターをやっているのにそういうことはつゆ知らず、本屋さんでたまたま見かけて、タイトルがなかなか惹かれるなというのと、なぜか表紙のヒロインと思われる女の子が西武ライオンズのユニフォームを着ているという謎の状況。

 正直、色物なんじゃないか?と思っていました。手に取るまでは。

 そして、本書の一番最後の作者の紹介をみて、

 「あれ?作者さん、私と同い年?デビュー作?どんなものを書くのかという興味と、同い年で活躍している作者を応援のつもりで読んでみるか」

 という想いが湧いた。そんな作品です。

 本当に偶然っていうやつは凄いなと。

 そして、読んでみると1行目が

 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

 というなかなか独特で不思議な始まり方に、正直ワクワクと、ヒロイン成瀬あかりの変人ぶりを見せられるだけの作品なんじゃないかと若干心配しながら読み始めたのを今でも簡単に思い出すことができます。

 本作品は約200ページと短めなのですが、とにかくヒロイン成瀬あかりの行動力が凄く、まわりを巻き込むその感じ凄いなと思いました。

 しかし、その行動力の凄まじさや、なんでもできてしまうというのも凄いですし、周りからみたら奇行としか言えない、そんな成瀬あかりなのですが、実は普通の女の子だということに気が付かされます。

 そして、本作品の成瀬あかりは野球漫画アニメで言うような大リーグボール〇号とか謎の変化球というような魔球ではなく、藤川球児が投げていたストレートだとわかっていても打てない火の玉ストレートみたいな実は超気持ち良いヒロインなんだなということが読んでいればわかると思います。

 そのド直球のヒロイン成瀬あかりを基本的には周りの人視点から眺めるというように描かれるわけですが、2024年の本屋大賞まで制してしまった、成瀬あかりの中毒性を是非一読欲しいと思います。

 私ごときでは成瀬あかりの魅力は語り尽くせないのは重々承知です。

 元気いっぱい、若いというのは可能性に満ちていて無限大だというのはこういうことだろうと思うような本作品を味わってください。

 合言葉は

 膳所から世界へ



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