続刊を熱望したい遺作の電撃大賞作品【妖精の物理学】(電磁幽体)感想・レビュー

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①あらすじ

 「たった今、世界の法則を再定義しよう」

 2032年に提唱された前代未聞の物理学理論により、世界の在り方は大きく変わった。

 特定の物理現象が少女の姿で具現化した存在――『現象妖精』は、人類に多大なる恩恵と、未曽有の大災害をもたらした。

 七年前、『現象妖精災害』により一度崩壊し――復興した街・神戸。そこに暮らす少年・カナエは平穏な日々を過ごしていた――はずだった。あの日、助けを求める彼女の声を聴くまでは。

 「1500万もの人間を、この手で一度に、――殺しました」
世界の秘密と、犯した罪。少年と妖精の逃避行が今、始まる。

※Amazon商品レビューより抜粋しております。

②読んだきっかけ

 もともと、ガガガ大賞や電撃大賞が書店で目についたときは、反射的に購入して読む癖みたいなものがあったのですが、本作品は帯に

遺作

 とあって、どういうこと?大賞作品ってデビューしてなかったり浅い新人が応募するイメージなのに、遺作?

 そこに興味を惹かれて、手に取ってみました。

 読む前から、身構えた感じではありますが、電撃大賞で、発刊時に遺作と呼ばれる作品って、私の中では記憶になかったもので、読む前から既にインパクトが大きかったです。

③感想・レビュー

 読んだきっかけから、どんな話かも知らず、ただ遺作大賞作品で読み始めたわけですが、読み始めの感想は

 「ちょっと、何を書いてるかわかりません」

 くらい、重力が反転している都市、神戸がピンとこない。

 主人公のカナエや、現象妖精(フェアリー)との掛け合いも面白くないし、なんというかキャラも個人の感想にしても、ちょっと不自然じゃね?というのが本音。

 読み始めた初めの方は、この作品、「遺作」ということで話題集めだけしたんじゃないか?レベルで、本当に校正というか、商品として出せるレベルの手直ししたのか?と素人の私が読んでも粗い感じがします。

 それもそのはず、あとがきで有象利路先生が書かれていたのですが、大賞受賞後に作者の電磁幽体先生が亡くなってしまったようで、作者がかいたものを最低限の校正に止めて、そのまま出版したとのこと。

 そら、確か粗いわけです。

 ただ、面白さという点では、間違いなく面白い!!と感じました。

 『現象妖精』のゆきと出会ってからはの話の流れのテンポよさ、物理的な話は全く想像つかない部分はあるものの、バトルシーンは熱いし、主人公たちと現象妖精との掛け合いも慣れてくると面白いしで、ザ・ライトノベルの楽しさが詰まったような作品だなと感じます。

 確かに、変に校正してこの面白さが損なうかもしれないと思うと、英断だったのではないかと私は思います。それくらい読んでいて楽しかったです。

 賛否というか、私としては、否の部分だなと思うことを敢えて書いて置くと、本作品がこれから続くとなった時にどういう落としどころを考えていたのかなのですが、本作品のテーマとしてあるであろう「贖罪」については、弱いというか軽いなと。

 「贖罪」するには確かに生きるしかないわけですが、主人公と作中の出来事との関連を考えると、「現象妖精」とそこまで簡単に打ち解けられるものなのか(私なら、現象妖精を憎む対象にしているかもしれない)。

 これが主人公のもともとの性格や生活環境からきているかもしれませんし、もしかすると作者がなんらか先のストーリーで「贖罪」というのを深堀するつもりだったのかもしれませんが、本巻だけで読むと、私はこの点はだけは気になりました。

 ライトノベルに何を本気になっちゃてるの?的な感想もまじえつつも、面白かったし、続きがあるなら読みたいなと思うくらいに気に入った作品です。

 粗さはとわかりづらい物理の話は一旦無視して、作品の世界は楽しめたなと思っています。

④こんな方にオススメ

・20年くらい前の懐かしい熱いライトノベルを思い出したい方
・粗さに目をつぶれる方
・熱いバトルを所望される方

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