【禁忌の子】(山口未桜)感想・レビュー

①あらすじ

救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ!

※Amazon商品ページより抜粋しております

②読んだきっかけ

 発売当初からXのTLでは話題になっていた作品。

 私も書店の店頭で見かけた時に気になっていたのですが、本を積んでいたので、いつかという感じで後回しにしていた作品。

 あまりににも話題になりすぎて、初版が完売しかけた時、たまたま初版を見つけたので、買って読もう!というミーハー根性で読みました。

③感想・レビュー

 勤務医である主人公武田航が緊急の当直時に運ばれてきた自分と瓜二つの顔の溺死死体と対面するするところから、既に引き込まれる本作品。

 探偵役の武田の中学校時代の同級生城崎と共に、語り手の武田とその死体の関連を探る物語なのですが、探偵役の武田がいろいろな日常の出来事を推理して解決したらしい話もあって、全体を通して退屈するところが全くなかったなというのが率直な感想です。

 瓜二つの死体が見つかったという話ですから、当然、DNAが一致するのかとか、なぜそもそも瓜二つの死体があがったのかなどなど、突き詰めるとまぁまぁ重たい話ですし、医療的な話でいくと進歩ともとれるはなしですが、人間が踏み込んではいけないのではないか?と思うほどに重たい話が結構あります。

 そういう意味では、タイトル通り、『禁忌の子』にふさわしい、重たいテーマを取り扱ってるなと感じます。

 ただ、その重たさに反比例して、読者である私の謎を解き明かしたい、答えを知りたいという思いが強く湧く作品で、気が付いたら、どんどん先へ先へと読みたくなるような面白さがあります。

 私が思うに、この面白さの理由は、テーマの重たさを感じさせない純粋な謎解きとして、推理ができるという楽しさが本作品の中にあるんじゃないかなと思っています。

 いろいろ、医学的な話もあって、医学の進歩って必ず人を幸せにするんじゃないんだなと感じることが思うものの、そういう部分よりも、なんとなく、提示されている謎が解けそうな気がすると思わされることじゃないかなと思います。

 というのも、ミステリーって、難解すぎるなと思う謎を提示されると、読みながら謎を解くのを諦めることってないですかね?

 本作品は、テーマ自体は重たいものの、ミステリーとしてよい塩梅で読者である私も頑張れば推理できそうな気がする。

 良い意味で謎解き部分にライトさがあるように私は感じていて、これは話題になるわと思った作品です。

④こんな人にオススメ

・難しいトリックなどが出てこないミステリーを読みたい方
・タイトルの「禁忌の子」という意味に興味が湧いた方

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感想(8件)

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