①あらすじ
偶然ショート動画に収めたのは、真実をほのめかす、4秒間の〈殺人〉の手がかりだった――
「オレは、ルールの下に死んでいく」――人気絶頂のなか、謎のメッセージを残し自ら命を絶った俳優SIN。
動画投稿に没頭する女子高生の詠歌は、ある出来事から、死の直前の彼の姿を偶然撮影してしまったことに気づく。不審人物が映り込む、たった4秒間の事件の手がかり――SINは誰かに殺された?
憶測で過熱する報道を傍目に、詠歌は彼の死に疑問を抱く少年翔とともに真犯人を追う。だが、意味深な遺言に仕掛けられた謎に気づいた時、驚愕の事態にのまれていく。
※Amazon商品紹介ページより抜粋しております。
②読んだきっかけ
『ただ、それだけでよかったんです』で電撃小説大賞を受賞した作者さん。当時、大賞をとったということもあり、読んだものの、ダークな感じと恋愛要素を無理やり入れた感があって、それ以降追いかけていなかった作家さんでした。
『ただ、それだけでよかったんです【完全版】』が去年(2024年)に発刊されると聞き、
あの作品の完全版?なんで今更?
となったものの、読み終えて、いや、これは本当に完全版(なんなら別物だわ)となり、そのあと『15歳のテロリスト』を読んで、追いかけてみようとなって、今回の新作を読んだ次第であります。
③感想・レビュー
まず、お伝えしなければならないことなのですが、人気絶頂の若手俳優の死の真相を突き止めるという本作品ですが、その真相には賛否あるんじゃないかなと思います。
ネタバレ防止のため詳細は書きませんが、読んでいて、確かに!?と思う反面、でも、その結論はいくらなんでも安易というかちょっと違うんじゃないかなと思ったりしました。
ちなみに、私は賛否で言えば、否の方です。
それでも、なるほど確かに人間ってこうかもしれないなと思うほどの気づきを得られたなと思います。
おそらく作者の伝えたいことは、若手俳優の死の真相の是非ではなく、真相の先あるものだと思います。
それを踏まえた上で今の私の本作品の感想を書きたいと思います。
まず、質問です。
あなたは、死にたいと思ったことはありますか?
私は仕事で失敗したり、嫌なことがあったりすると、たまに思います。
このまま消えてなくなりたい。死んでもいいかも
と。
逆に問いたいのですが、ちょっとしたことで死ぬ気もないけども死にたいと少しも思ったことはないと言い切れますか?
そんな簡単に死ねやしないのに、死にたいと思うこともある。ただ普通に生きているだけで。
本作品を読んでいて、自殺を実行にうつすということはなかなかできるものではないですが、なぜかそんな大した事でもないのに、死にたいと日常で思う時がたまにあるのが人間なのではないかと思いました。
そして、実は死にたいだけじゃなくて、いつもではないけども、相手に求めることもなく、ふと家族や恋人が生きているだけで安心できる、元気が出るということもあります。
衣食住、五体満足なのにちょっとしたことで死ぬ気もないのに簡単に死にたいと思えるのも私だし、私以外の人に、何を求めるでもなく「ただ生きていてくれれば私は幸せだ」と思えるのも私だなと気づかされた本作品。
殉教者の意味を考えながら、私は死ぬ気もないのに簡単に死にたいと思ってしまう自分に気づき、何も求めず生きていてほしい人を思い浮かべることができて、私は生きていて良かったなと思えるそんな作品でした。
④こんな方にオススメ
・松村涼哉先生ファンの方
・「自殺」について考えてみたい方
少年殉教者(1) (メディアワークス文庫) [ 松村 涼哉 ]価格:770円 (2025/3/24 19:58時点) 感想(0件) |
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