震災後2年後から戦後数年後の「カフェー西行」で女給として働いていた女性たちの生き方を描いた作品。
いろいろなことが盛り込まれているように見えて、ただありのままの女性を描いているだけなのかもしれない本作品。
ストーリーの派手さはそこまでないですか、人物描写の良さが際立っているなと感じる作品。
現代のメイド喫茶よろしく女給たちをただ見守るもよし、女給たちから生きる力を得るもよし、読み方はあなた次第!!な作品です。
①あらすじ
東京・上野の片隅にある、あまり流行(はや)っていない「カフェー西行」。
食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。
竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。
彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。
大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。
※Amazonの商品ページより引用しております。
②読んだきっかけ
2026年の1月14日、直木賞の発表日に直木賞を受賞した本作品。
ノミネートされた5作のうち、読了本は『家族』(葉真中顕)のみだったのですが、この作品ののめり込み度は半端なかったので、『家族』以上に評価される作品があるならばその作品はマストで読みたいと思っていました。
当然、その思いのままに、その日の帰りに書店に寄って購入したことをお伝えいたします。
なお、内容はほぼ知らず、タイトルに「カフェー」が入ってたので、大正や昭和初期が舞台なんだろうなぁくらいしか想像できていませんでしたよ?
③感想・レビュー
「カフェー西行」で働く女給たちを中心に描いた、震災後数年後~戦後数年を描いた物語。
言い方は悪いですが、当時14歳から現役で女性は働けるうえ、19歳というのがひとつの基準?みたいな中、各章の中心となるのは25歳を超える女性たち、しかも独身という当時ではあまりいないであろう女性たちを描いております。
企業も女性の30歳以下の定年は当たり前だった時代に女給として働き、生きる女性たちの強さ、たくましさ、脆さなどが描かれているように思います。
読んでいて、2026年1月現在の感覚でいくと25歳でも社めちゃくちゃ若いし、40超えてもこれからでしょ?くらいの今だからこそ、共感できる部分も多いなと感じました。
当時の「カフェー」というと、様々なサービスがあって風俗やキャバクラといったイメージは私はあったのですが、本作に出てくる「カフェー西行」はメイド喫茶とかコンセプト居酒屋とかそんな感じのイメージで、働く女給を眺めて見守ることを楽しむタイプの「カフェー」で、健全。
ただ、そこで働く女給たちには仕事以外ではいろいろと悩みや苦労が多い。第一章のタイ子は読み書きができない。第二章の美登里は嘘つきだったり、第三章のセイは高等学校出でも小説や私生活で苦労する。
そういう苦労話があるのでどこか弱い女性をイメージしてしまうのですが、でも芯がめちゃくちゃく強いのか、気が付けば自分でたくましく道を切り開いていく姿は読みながら見守っていたくもなるし、強くて憧れるなと感じたりしました。
メイド喫茶で推しのメイドさんの働きぶりを見守るような感覚?
そこが、本作品の読んでいてなぜか面白いなと感じる部分だと思っています。
ただ、震災後~戦後数年後までを描いて、サクセスストリーみたいな章もありますが、基本は女給たちの日常を描いた話なので、どうしてもストーリーの盛り上がりには欠けているかなという印象はあります。
登場人物たちに魅力があるなと感じるものの、起きることは想像の範囲内でほぼおさまるという点が面白いのにどこか薄いなと感じた部分かなと思います。
そこは、ストーリー上やむなしというところだろうと思いますが、直木賞受賞に文句はないほどにカフェーで働く女性たちの魅力が詰まった作品です。
④こんな方にオススメ
・大正・昭和が舞台の小説が好きな方
・カフェーのそこはかとない雰囲気が好きな方
・前向きに生きていく女性を眺めたい方
特に迷いながらも前向きに生きていく人の姿をみて元気をもらいたい方にオススメです。
エンタメ向きのどんでん返しとか盛り上がりのあるストーリを好む方には合わないかもしれません。
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