【ヒカリノオト】(河邊 徹)感想・レビュー

①あらすじ

ふがいなくて泣いたことも、
無我夢中で取り組んだことも、
あんなに大切だった人も、
すべて忘れてしまったはずのことが、
あの曲を聴いただけで、思い出せるのはなぜだろう。

大ファンだったアーティストの担当になったものの、努力が結果に結び付かず苦悩する若手レコード会社社員、上司の期待に応えようとするあまり、知らないうちに心身を壊してしまった40代手前の女性、久しぶりの恋の予感にときめくカメラマン、合唱コンクールで伴奏と曲のアレンジを任された女子高生、海辺の町のリサイクルショップで壊れた物を修理し続ける男性――。時に慰め、時に励まし、彼らの人生の岐路に寄り添っていた一つの音楽が、場所や時間を超えて広がっていく奇跡を、ミュージシャンとしての経験を持つ著者がみずみずしく描いた連作短編小説。

※Amazon商品レビューより抜粋しております

②読んだきっかけ

 初読み作家様で、店頭で装丁がきれいだなと思い手をとりました。

 ヒカリノオトというタイトルの通り、音楽を題材にしているといういうのも私の興味を惹きました。

③感想・レビュー

 まず、音楽が題材になっていますが、いつもスマホやウォークマンにいれて聞いたりするようなポップスとか流行曲に関する音楽のお話です。

 音楽を世に送り出す側がいて受け手がいる。そんな当たり前のことなのですが、売れる、ヒットする曲っていうのはどんなものなのか。

 音楽を世に送り出す側が送り出したい曲、受け手が聞きたい曲。音楽を生み出してそれを世に送り出すということの大変さが序盤では伝わってくるなと思いました。

 その序盤に思うことは、確かに私がいままで生きていた中でヒットした曲、売れたアーティスト様々いたなと思いますが、では、今心に残っている曲ってどれだけあるだろうか、どれだけのアーティストが生まれて消えていったかということでした。

 あの時、あんな歌があったよねとか、あの時流行ったアーティスト、そういえば最近みないなとか。

 そして、あれこれと思い出しながら、各短編を読み進めていくと、確かに、私が大学受験の時によく聞いていたり、デートで聞いた曲、結婚式で流した曲などなど、確かにそこに音楽があったことを思い出しました。

 それは大ヒットした曲だったかもしれないし、その時はマイナーと呼ばれていた曲かもしれない。

 でも、確実に私が過ごした時と共に私のだけのために、もしくは私の大切な人とのひと時のためにその曲は確実に存在していたんだなと思いました。

 そして、私が今知っているか知らないかに関わらず、良い音楽とは音楽の作り手が世に送り出した音楽は池に石を投げたように波紋が徐々に広がっていくというものなんだろうなと思いました。

 そして、その波紋はとてもきれいだなと感じる短編集だと思います。

④こんな方にオススメ

・思い出にはそういえばそばに音楽があったなと思う方
・音楽が波紋となって綺麗に伝わっていく様子を楽しみたい方
・音楽とは何だろうかと哲学したい方

ヒカリノオト (一般書 461) [ 河邉 徹 ]価格:1760円
(2025/1/29 19:42時点)
感想(0件)
ヒカリノオト【電子書籍】[ 河邉徹 ]価格:1760円
(2025/1/29 19:42時点)
感想(0件)


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です