私も神に愛されていると思っていた【神に愛されていた】(木爾チレン)感想・レビュー

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①あらすじ

 若くして小説家デビューを果たし、その美貌と才能で一躍人気作家となった東山冴理。
 
 しかし冴理は人気絶頂のさなか、突然、筆を断った――。

 やがて三十年の時が経ち、冴理のもとに、ひとりの女性編集者が執筆依頼に訪れる。

「私には書く権利がないの」そう断る冴理に、

「それは三十年前——白川天音先生が亡くなったことに関係があるのでしょうか」編集者は問う。

「あなたは、誰かを殺したいと思うほどの絶望を味わったことってあるかしら」

――そして、この時を待っていたというように、冴理は語り始める。

 高校文芸部の後輩、白川天音が「天才小説家」として目の前に現れてから、全ての運命の歯車が狂ってしまった過去と、その真実を……。 

 希望と絶望、 羨望と嫉妬……

 これは、ふたりの女性作家が、才能を強く信じて生きた物語。

 すべてを読み終えたあと、あなたはタイトルに託された〝切ない意味〟を知り、ぎゅっと、胸を締め付けられる。

※Amazonの商品ページより抜粋しております

②読んだきっかけ

 2024年の1月に単行本で購入していた本作品。

 読んだきっかけは…Xの投稿で木爾チレン先生の告知で本作品の文庫本が発売されると知ってから…

 いつか読むと決めてもう1年以上も寝かしてしまったという…

 もう文庫本が発売するまでの時が経過してしまったのか…

 そんなことを思うと同時に、せっかく初版で手に入れた単行本を文庫が発売するまでに読まないなんて勿体ない!!

 そんな感情がわいた私は、何が何でも文庫本が発売されるまでに読んでやる!!と思ったのが令和7年9月の末。

 本作品の文庫版が発売されたのが10月3日。

 読み始めたのは10月20日前後…ダメやん…

③感想・レビュー

 読んだきっかけがダメダメで、何なら作者の『二人一組になってください』を後に買ったのに先に読了してしまった私の感想です。

 現実的な気がしつつ、現実的ではないような感じ…なんとなく、『百年の孤独』のようなマジックリアリズムを本作から感じた私(マジックリアリズムと言いたいだけです)。

 帯とタイトルからは、作家先生が小説書くためならなんでもやる(人殺しまでしてネタを仕入れるなど)系の狂気なのかな?と思っていたら、そういうのはないものの相当な狂気を感じた作品。

 ただ、狂気だけじゃなくて、その狂気に共感すらできてしまうというのが私の読んでいるときの本音でした。

 小説を書く才能に恵まれていて自分は「神に愛されている」と思う冴理。

 要するに自分には才能があるという思い込みに近いこの感情。決して、冴理だけにある感情じゃなくて、夢を追いかけたりやりたいことに打ち込んでいたりした人にはある感情なのではないかと思います。

 私も夢を追いかけていたころ、自分にはその夢を実現できるだけの才能があると思っていたし、なんでもうまくいくような気がしていました。

 実際に夢を追いかけられるだけの結果も出し続けていたし。

 ところが、よほどのことでもない限り、その追いかけている夢の途中やふとあることで挫折を味わう。

 その挫折の理由のほとんどは、

 「自分よりも才能に恵まれている人がいる」=「私は神に愛されていない」

 なのではないかと思います。

 大体は、努力の差だということも多いのですが、そんなことはなく、例えば圧倒的に野球がうまいはずのプロ野球選手も努力をしているのに差が出てしまう。

 これはプロフェッショナルな世界になればなるほど痛感してしまうことなのではないかと思います。

 「私は神に愛されていない」と悟った時の冴理の気持ちはそんな世界を目指していた方にこそ共感できるのではないかと思います。

 そして、「神に愛されている」と冴理から評価を受ける天使のような白川天音。

 冴理の感情は正直ダークサイドな感じがするのですが、果たして白川天音は光側の人間なのか。

 読んでいてところどころ、「うん?」となっていた部分も、裏側を見れば…という内容になっていたのが面白いなと思いました。

 本作品を例えるなら、陰陽図

 光あるところに闇があって、闇があるところに光がある。どちらも、あるからより際立つという感じなのかな?

 読後はその光と闇の境がわからなくなるりましたが、読んでいてイメージはこういう作品だよなと感じました。

④こんな方にオススメ

・夢を追いかけたことがあるか方
・挫折感を味わったことがある方
・他人の才能に嫉妬したことがある方

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