産みの母と育てのママをもつヒロイン、宙が幼稚園の卒園を機に産みの母と生活をするところからはじまるストーリー。
生まれてからとある事情で一緒に生活をできなかった産みの母とヒロインが、いろんな問題や困難にぶつかり、家族として成長していく物語で、何か起こった時には必ず出てくるごはんのプライスレスな優しさは物凄く私の心を揺さぶりました。
はじめは、本当に大丈夫なのか、この家は?と思いながらも、誰かに助けられ、支えながら困難を乗り越えて家族として成長していく姿は必見。
そして、成長していくと、今度は他の家族を助けたりするというのもまた良かったです。
本作品を通して思うのは、完璧な人間なんていないように、完璧な家族なんていないということ。
そして、どんな子供にも通じる完璧な子育てなんていうものはないし、子供にとって完璧な親もいない。
ごく普通の人間が親になるということ。
そして、親が育てば子供は育つ。
そういう当たり前のことを当たり前に気づかせてくれる作品です。
そして、一生懸命生きていれば、良いこともあれば悪いこともあり、そういったことを乗り越えて家族は日々成長していくだなと思いました。
本作のメッセージはおそらくそういうことなんじゃないかなと思います。
そして、本作品に出てくるごはんはどんなにお金を支払っても食べられない、その人にとっての優しいごはんがありました。
こんなごはんを家族に私も作ってみたいなと思うほどに。
この作品に出会えて良かった。そう思えた作品です。
※なお、初回版(初版?)はカバーの裏に短編が書かれています。
これは、読了後に読むと泣けました。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
2022年に読んだ本の中で一番印象に残っている作品。2023年の本屋大賞ノミネート作品でもあります。
町田先生の作品だけあって、ヒロインに試練を与えてくるなぁと思いながらも、凄く温かくなれる作品です。素朴という表現が正しいかはわかりませんが、ひと悶着あって大変な時に落ち着いて食べるご飯がとてもおいしそうだなと思いました。
自分の家のことを基準に他所の家を変わっているとか決めつけてはいけない。
他所は他所、うちはうち、人に個性があるように家族にも個性があるということを厳しくもあり温かく教えてくれるそんな作品です。
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